・ ページ20
.
もっと撫でてと言わんばかりに擦り寄せてくる二人の頭を撫で続け堪能していれば、もう一組の遠征部隊も帰ってきた。
「たっだいま〜！大量ですよ！」
「帰ったぞ。これでいいんだろ」
「おかえり、秋田、山姥切」
可愛い笑顔を携えたもう一人の天使秋田藤四郎と、一刻も早く部屋に戻りたそうな山姥切国広が帰ってきた。
今剣と乱の頭を撫でているのを見た秋田が「ずるいです！」と駆け寄ってきて、一瞬にしてこの場が天国へと成り代わった。
「三人共、そろそろ資材を置きに行こうか」
永遠に天使達三人と戯れていたいところだけど、夕餉の準備もあるので最後に髪を整え手を離し資材を抱える。
大成功したのか帰還した際に二組は通常よりも多くの資材を抱えていた。物吉と一緒に資材を持って運ぶのを手伝っているが、それでも短刀三人にとってはまだ多いようでこぼれ落ちないか心配だ。
「そうだ、みんなできょうそうしましょう！よーいどんです！」
「あー！ずるーい!」
「待ってください！」
「わぁ、お待ち下さい！」
私の心配を他所に突如として今剣が競争を持ち掛け、掛け声を合図に秋田と乱と物吉も資材置き場まで走り出した。
そんな彼等を見届けて、元々走るつもりのない歌仙と山姥切と共にゆっくり歩いて向かう。
「もぅ〜、あるじさん達おーそーい！」
「ごめんごめん」
走らず歩いてきた私達に拗ねているのか、口を尖らせ腰に手を置く乱が待ち構えていた。
ひとこと謝罪をすれば腰に抱きついてきて「許してあげるー」となんとも可愛らしいお許しを頂いた。
「あるじさま、これからぼくたちとあそんでください！」
「遊ぶ？」
「遊ぼうよぉ！遠征大成功したから、ボク達のお願い聞いてほしいな〜」
「主君と遊びたいですっ！」
三人からのお誘いに、思い返せば最近あまり彼等と一緒に遊んでいなかったかもしれない。
「主様、息抜きも大切ですよ！」
「そうねー、最近体を動かしていなかったことだし、一緒に遊ぼうか」
物吉の言葉に頷き遊ぶことを承諾すれば、三人は喜びで飛び回り花が咲いたような笑顔を見せた。
「あ、勿論歌仙と山姥切も参加ね？」
「せめて雅な遊びでよろしく頼むよ」
「なっ…俺は、」
「やったぁー！まずは隠れ鬼ねー！」
私の誘う言葉を聞き部屋へ戻ろうとした山姥切だったが、ご機嫌な乱に手を取られそのまま連れ去られていった。
その後も言うまでもなく、雅な遊びとは程遠い鬼ごっこ等を全力で勤しんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べべ | 作成日時：2020年11月18日 14時
