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結論から言えば、強制的に審神者にされた。
目を覚ませば喋る狐が目の前に現れ、思わずそばにあった枕で殴りかかりそうになった。
狐はこんのすけ、という名らしい。
「ここはどこですか」
「本丸でございます…っ！」
「私はなんで本丸、にいるの」
「そ、それはA様を眠らせて…その…｣
「なるほどねー、誘拐したと｣
「あうっ…｣
話を聞く限り、予想はしていたが私は無理矢理連れてこられたらしい。
文句と挨拶もそこそこに刀を五振り持ってきたこんのすけに「A様にはまず初期刀を選んでいただきます！」と宣言された。
足掻いたところで帰れはしないから、腹をくくるしかない。
初期刀をいきなり選べと言われても刀のことなんか何もわからないので、取り敢えずは五本の刀をじっくりと見つめてみる。
その中で赤い刀になにか惹かれるものを感じ手を伸ばしてみた。
｢あー、川の下の子です。加州…えっ｣
手に触れた瞬間桜が舞い、現れた男の子は私と目があうと目を見開いて固まってしまった。
どうかしたのかと思い、目の前で手を振ってみると彼はハッとした顔になり呟いた。
｢沖田…くん？｣
呟かれたそれは、私の名字だった。
｢え、なんで苗字｣
知ってるの、と続けようとした言葉を遮るように彼は私に抱きついてきた。
一体何が起こっているのか、なぜ彼は私に抱きついているのか、頭の中で疑問が飛び交うだけで答えは当然出そうにない。
｢ずっと…、ずっと…逢いたかったっ…！｣
彼の震える声が耳元で聞こえる。
会いたかった、誰に？
ずっと、いつから？
また疑問が増えてしまった。彼の言うずっと会いたかったを考えるが私は彼と会った記憶はない。彼は私をその会いたかった誰かと間違えているのだろうと、勝手にその疑問に終止符を打つ。
距離をとろうと肩に手を置くと、彼の身体は少しだけ震えていた。
｢えっと…加州くん、だっけ？私を誰かと間違えてる？｣
｢え、俺だよ…加州清光だよ？覚えてないの？俺のことがわからないの…っ？｣
少しだけ離れてこちらを見つめる彼はとても寂しそうで、その目には悲しみの色が見える。
私が本当に自分のことを知らないと悟ったのか、また私に抱きついてきた彼から鼻をすする音が聞こえてきて、無理に離すこともかける言葉も見つからず、私は彼の頭を撫でることしかできなかった。
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作者名：べべ | 作成日時：2020年11月18日 14時
