私のお兄ちゃんはホスト。 ページ2
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理解が追いつかないって、こーゆー事なんだとわかった。
みな兄の腕を掴み、こっちだよと教えながら、やっとたどり着いたご飯屋さん。奢ってくれる、と言ってくれたが、嫌な予感がしたため、別会計でいいと話す。もうそこまで子供でもないのだから、尚更だ。揺れ動くような髪色を見つめながら、思わず眉間にシワがよる。それに気づいたのか、グリグリと眉間を押し、大層嬉しそうにする兄を見つめるだけだった。
子供みたいに笑うんだよなぁ、この人。
｢…………みな兄、もう1回言ってくれる？聞き間違いかもだし、人が沢山居たからよく聞こえなかったからさ。｣
｢俺、ホストなったわ！！！！｣
｢……………………は？｣
｢しかもNo.1なんよね、どう？どう？？｣
｢良くないって、そーゆーの。恋愛歴まともじゃないし、妹の私が言うのもアレやけど、何言うてるかわからんし。言うちゃあかんかもやけど、ピュアやったりサイコパスやったり、年上に食われてもうたり、フォークで刺されたりとか。妹の私からしても、みな兄は、変わっとるよ！！！！｣
｢そんな褒めんといて。｣
｢褒めてないわ！！！！アホ！！！！！｣
｢Aが言いたいのは、その気がないのに、女の子たちをその気にさせちゃあかんちゅーことやろ？せやけど、それがホストやしなぁ。｣
｢いや、そうじゃないんよ、みな兄。｣
｢え？｣
｢私は、みな兄がいつか刺されそうで怖いんやって。メンヘラ製造機やし。さっきも言うたけど、フォークで刺されとるし。夜行バスで隣の人に襲われかけたわけやし。なんなら、こっちも被害者やし。｣
｢あーーね、…………うん、そっちかぁ。｣
｢ホスト辞める気になった？｣
｢いや、辞めないけど。｣
ご飯屋さんは完全個室だった。
ホストという職をしているからか、高いお店なのもあり、きっとそーゆー人達が使いそうなとこ。やっぱり奢ってもらおう。そんなことを思いながら、お高いしゃぶしゃぶを頼み、蟹を見ては思わず二度見した。みな兄は笑いながら｢四肢もがれてる〜。｣とか言ってた。うーん、やっぱりダメだなこのお兄ちゃんは。
ママに連絡したところ、ホストのことは知っていたらしい。なんならもう1人のお兄ちゃんさえもだ。
私には何も教えてくれないこんな家族大嫌いだ、と思いながら、蟹の八割を食べたのなら、嬉しそうにするみな兄がいて、癪だった。
続く
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作者名：こ。 | 作成日時：2023年5月24日 22時
