澄 ま せ ば 聴 こ え る 2

なーなじゅご ページ25

山田side

夜遅くまで起きてたからか、

たかが目を覚ましたのは昼前のことだった。



山「…あ、起きた？」






貴「んっ、、、お前、誰…？」



山「あっ、新しく来た山田涼介です。
一応なんだけど、




…先生、です。」




俺はまだ前のことが
少しだけトラウマなのかもしれない。


自分でも分かるほど、声が震えた。




貴「…あぁ、新人か……、なに。おれ担当なの？」




山「担当は、まだあんまり、ちゃんとは

決まってなくて。だから担当ってわけじゃないよ」





実際そう。

薮先生からも八乙女先生からも、他の先生方からも


この子担当、などの話は出ていない。






貴「そっ…あ、シゲは…？」





山「あー、さっき岡本先生から聞いたけど、
夜中よりは確実に良くなってるみたい。
熱も下がってきてて。37℃台だかなんとか」





貴「…また、、ぶり返すかも」



山「えっ？」



貴「…シゲは自分以外を大切にして、自分のことはあんまり口に出して言わないから…

無理してるかな、って…」





みんな優しい。



自分がボロボロでも「みんなだけは」って。


先生方もそうだし、子供達もそう。




今のたかもそう。







この家は優しさのかたまりだ。






山「…そうかもしれないね、たか ありがとうね。
シゲはきっと明日には良くなるから。
たかはゆっくり休んで大丈夫だよ



あ、まずご飯食べよっか」








布団から出てきたのはパジャマ姿のたか。




圭人が持ってきてくれた服を渡して着替えさせる。









山「…っよし、ご飯食べに行こ」





話し合いの時の伊野尾先生の言葉を思い出して


手を差し出す。








貴「…ん、」




ぎこちなく繋がれた手。









その手はポカポカと寝起きの暖かさを持っていた。

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