諦めません。０２. ページ7
桜夜side
急いで体育館に戻ると、
烏野の皆も着替えて体育館に集合していた。
とりあえず、安心を求めて京治の側に行く。
赤葦「あ、おかえり。大丈夫？」
桜夜「うん。大丈夫だよ」
何もされてないしと言えば、
京治は底抜けに優しい瞳をして頭を撫でてくれる。
赤葦「でも驚いた。あんなことを言うんだから」
桜夜「あれは、次会った時に言おうって決めてたの」
赤葦「でも過呼吸起きなくてよかったよ」
起きたらどうしようかと思った。
苦笑しながらそう言う京治の顔を見上げる。
まさか、そんなことを考えてくれていたなんて。
過呼吸のことなんか、私も忘れていた。
最近はほとんど起こしてなかったし。
その油断のせいで以前大変なことになったけれど。
桜夜「ありがとう。心配してくれて」
赤葦「………大切だから」
桜夜「っ、」
鼓動が、高鳴る。
優しい声音と、優しい表情に。
淡い淡い期待をしてしまう。
ううん、違う。
そうあればいいのにと思ってしまう。
京治が、私のことを好きならいいのに、って。
自分からは、何も言えないくせに。
赤葦「あ、集合だ。俺行くね」
桜夜「えっ、あ、うん！」
変な返事をしてしまった。
そのせいでちょっと怪訝そうにこちらを見てきた京治。
でも、すぐにそれを消して皆のところに行ってしまった。
雀田「ふーん？」
後ろからの声に、さっきとは別の意味で鼓動が速くなる。
桜夜「か、かおりさん………！」
雀田「赤葦のこと好きでしょ？」
桜夜「そんなことないです！」
ムキになって答えれば、
その反応を楽しんでケラケラと笑うかおりさん。
雀田「赤葦はいいと思うよ？
家事も一通りできていつも優しいしさ」
桜夜「誰も好きなんて言ってませんけど………」
雀田「さっきの表情見たら誰だって解るよ」
これはどれだけ隠しても無意味か。
いやでも認めてしまうのもなんか癪に障る。
……………なんの意地はってるんだろう。
桜夜「そういえば京治、
ほとんど一人暮らししてるんでしたよね」
雀田「うん。それがどうかしたの？」
桜夜「いえ………ふと思い出して」
優しさに隠された、彼の寂しさ。
その一端に触れてから、自覚した感情。
伝えられることも叶わないのに。
自覚したくなかったと思うのに。
それなのにどうして。
桜夜「なんでこんなにも、溢れるの」
隣に立つかおりさんにも聞こえないぐらい小さな声で呟く。
この感情は、やはり厄介だ。
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聖華(プロフ) - ジュリさん» ジュリさん、コメントありがとうございます。とてつもなく遅い更新を早くできるよう、頑張ります。応援ありがとうございます。 (2017年9月16日 11時) (
レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 更新楽しみにしてます！ (2017年9月14日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
聖華(プロフ) - るーさん» るーさん、コメントをありがとうございます。今はまだ煮詰まってて更新がとっっってもスローペースですが、更新を待ってくれれば幸いです。応援ありがとうございます！ (2017年6月9日 16時) (レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
るー - とってもおもしろいです！主人公の気持ちの強さに感動しました。これからも更新など頑張って下さい！応援しています！！ (2017年6月9日 0時) (レス) id: 179cc2b81d (このIDを非表示/違反報告)
聖華(プロフ) - 花さん» 花さん、コメントありがとうございます。いやいや、私が書く拙い文章なんかに憧れないでください。（笑）ゆっくり、確実に更新していきますね。更新頑張ります！ (2017年5月29日 20時) (レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖華 | 作成日時：2017年4月27日 19時
