諦めません。０１. ページ6
桜夜side
頭を上げて、烏野の皆の顔を見る。
皆、驚きを隠せない表情をしている。
その中に怒りの感情があることも、手に取るように解る。
桜夜「では、マネの三人は私についてきてください」
清水「あっ、うん」
複雑な表情をしながら、
清水さんと谷地さん、そして宇都宮さんがこちらにくる。
桜夜「じゃあ黒尾さん、あとの皆はよろしくお願いします」
黒尾「おう」
黒尾さんの返事を聞き届けてから、
外に出る時に使ったルートを歩いていく。
後ろからは、
楽しそうに話す烏野皆と音駒の皆の声が聞こえる。
そちらに視線を向ければ、
話しているのは一部でそこまで友好的ではなかった。
逆にこちらは、
会話なんてものはなくただ全員が黙々と歩くだけ。
誰も、口を開こうとはしない。
むしろ話してはいけないというような雰囲気が流れている。
桜夜「ここがマネの部屋です」
立ち止まって、扉をガラッと開ける。
そこにかおりさん達がいないから、
多分私と入れ違いで体育館の方に入ったんだろう。
桜夜「では、私はこれで。仕事がありますから」
微笑を浮かべて頭を下げる。
清水さんと谷地さんは、苦しそうな表情をしていた。
その隣を通り過ぎようとすれば。
清水「っ、待って！」
珍しく声を上げた清水さん。
表情では驚きを見せないように努めている。
けれど、内心はとても驚き戸惑っている。
静止の声に振り返り、清水さんを見つめる。
彼女は今にも泣きそうな表情で、
私のことを必死に繋ぎ止めようとするかのように言う。
清水「桜夜ちゃんは、本当に私達のことを忘れたの？」
桜夜「忘れたと言われましても………
私は烏野の皆とお会いするのは初めてだと言いましたよ」
ずっと前から、決めていた。
もう一度烏野の皆と会う時、
私は彼らのことを知らないように振る舞おうと。
桜夜「貴女達が誰を探しているかは知りません」
私には新しい、大切にしてくれる仲間がいる。
桜夜「けれどそれは、探し人は私ではないはずです」
新しい仲間を選択して。
新しい場所を選択して。
たくさんたくさん、支えられて今ここにいる。
養子の話がなければ、私はまだ宮城にいた。
ずっと囚われたままで、何もできずに。
ただそれが当たり前なのだと受け入れて。
理不尽さも不条理も。
あの子に抵抗する意思さえ持てなかっただろう。
桜夜「それじゃあ、私は先に行きますね」
言うが早いか、身を翻して彼女達の前から去った。
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聖華(プロフ) - ジュリさん» ジュリさん、コメントありがとうございます。とてつもなく遅い更新を早くできるよう、頑張ります。応援ありがとうございます。 (2017年9月16日 11時) (
レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 更新楽しみにしてます！ (2017年9月14日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
聖華(プロフ) - るーさん» るーさん、コメントをありがとうございます。今はまだ煮詰まってて更新がとっっってもスローペースですが、更新を待ってくれれば幸いです。応援ありがとうございます！ (2017年6月9日 16時) (レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
るー - とってもおもしろいです！主人公の気持ちの強さに感動しました。これからも更新など頑張って下さい！応援しています！！ (2017年6月9日 0時) (レス) id: 179cc2b81d (このIDを非表示/違反報告)
聖華(プロフ) - 花さん» 花さん、コメントありがとうございます。いやいや、私が書く拙い文章なんかに憧れないでください。（笑）ゆっくり、確実に更新していきますね。更新頑張ります！ (2017年5月29日 20時) (レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖華 | 作成日時：2017年4月27日 19時
