諦めません。３０. 〜過去編�供檻掘� ページ35
桜夜side
練習を再開させた部員達を見ながら、
ベンチに座ってその風景を見ている叶に近づいた。
怖がらせないように、肩に優しく触れる。
叶「あ、雛美さん」
桜夜《練習見てて、どう思った？》
あらかじめ書いていたメモを見せてから、隣に座る。
叶はその瞳に憧れを宿して、練習風景を見ていた。
叶「皆、すごく熱心で………
ここから見てて、すごいなぁって思ってました」
桜夜《宇都宮さんは、どうしてマネに？》
叶「えっと………
たまたま、練習を見かけて………その………」
言葉に詰まる彼女を見て、
無理に話さなくていいとメモに書こうとした時。
叶「笑って仕事をしている雛美さんを見かけたんです」
笑ってる？
私が？
叶「そんなふうに笑って仕事ができるのって、
どんな感じなのかなって、すごく興味が湧いたんです」
きっとこの時の言葉に、
彼女の気持ちにも、嘘偽りなんてなかった。
少なくとも、当時の私はそう感じた。
叶「わたし、雛美さんに憧れてるんです」
人によっては、
そう口にすることが恥ずかしいと思う言葉。
でも彼女は、自分の言葉をちゃんと伝えられる人だった。
私は叶の手を握って、その手のひらに文字を書く。
桜夜『うれしい。ありがとう』
平仮名で書いた文字を理解した彼女は、
花のように顔をほころばせて綺麗に笑った。
叶「わたしも、嬉しいです」
桜夜《私のこと、名前で呼んでいいよ》
叶「えっ、じゃあ、
桜夜さんもわたしのこと、名前で呼んでくれますか？」
その提案に笑って、コクッと頷く。
瞬間、叶の顔に華やかな笑顔が浮かんだ。
当時の私は、
この関係が歪に壊れるなんて思っていなかった。
この関係は、ずっと続くのだと思っていた。
先輩と後輩。
言葉にすれば、たったこれだけ。
けれど私にとっては、とても大切な関係だった。
バレー部だった時は、
先輩と後輩という関係は形だけだったから。
できることなら、綺麗なままで。
このまま、美しいままで。
私は、そう願っていた。
けれどある日。
そんな願いは、虚しく、儚く、壊れた。
こんなに薄い関係だったのだろうか。
ガラスのように脆い関係だったのだろうか。
何度も何度も、私は自分に問いかけた。
答えが見つかるようにと願って。
私の何がいけなかったのだろう。
私は彼女の何に触れてしまったのだろう。
答えが彼女の口から伝えられるまで、私は解らなかった。
更新じゃなくてごめんなさい。でも嬉しくて。→←諦めません。２９. 〜過去編�供檻供�
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聖華(プロフ) - ジュリさん» ジュリさん、コメントありがとうございます。とてつもなく遅い更新を早くできるよう、頑張ります。応援ありがとうございます。 (2017年9月16日 11時) (
レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 更新楽しみにしてます！ (2017年9月14日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
聖華(プロフ) - るーさん» るーさん、コメントをありがとうございます。今はまだ煮詰まってて更新がとっっってもスローペースですが、更新を待ってくれれば幸いです。応援ありがとうございます！ (2017年6月9日 16時) (レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
るー - とってもおもしろいです！主人公の気持ちの強さに感動しました。これからも更新など頑張って下さい！応援しています！！ (2017年6月9日 0時) (レス) id: 179cc2b81d (このIDを非表示/違反報告)
聖華(プロフ) - 花さん» 花さん、コメントありがとうございます。いやいや、私が書く拙い文章なんかに憧れないでください。（笑）ゆっくり、確実に更新していきますね。更新頑張ります！ (2017年5月29日 20時) (レス) id: c07a3965b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖華 | 作成日時：2017年4月27日 19時
