3話 ページ3
肉体を貰う。
その言葉に男達が動きを止める。
普通の非術師なら何を言ってるんだと変な顔をするが彼らはちゃんと理解しているようだ。
「呪術師か。」
「ええ、そうよ。何か問題でも？」
長と呼ばれる老人が一人の男に指示を出す。
「祭儀を始めろ。あの方がお待ちだ。」
あの方？
私がいる方とは逆へ走っていく男。
「祭儀について話してもらえるかしら？」
「貴様らに話すことなどない。」
頑固じじいだなぁ。
「なら別日ならお話していただけますか？」
「愚問。」
話す気は1ミリもないわけね。
なるほどっと頷いていると小さな子供の慟哭が聞こえた。
社の方からだ。
「何をしているの？」
「貴様らには関係ない事だ。」
「祭儀ね。」
恐らくあの社前にいた子供2人の声。
泣いているということは─。
「あんな小さな子供を生贄にするなんて最低ね。」
「そういう運命だったのだ。」
運命…ね。
生まれた時から他人に自分の命の在り方を決められる。
所詮は大人の都合。
あの子もその運命ってやつに生まれた時から呪われてる。
私も。
「貴様らには選択肢が2つある。」
1,今ここで死ぬ。
2,生贄として死ぬ。
なるほど。
呪術師の私達を生贄とすれば更に強い神が生まれるってか。
「この祭儀を創り出したのは誰？貴方？」
「教えることは何もないと言っておるだろう。」
あっそ。
「じゃあいいや。」
私が術式を解いたのと同時に男達が一斉に動き出す。
視える奴がいるのか。
まぁ関係ないや。
男の手が私へと伸びる。
その瞬間、地震と共に背後の社から内臓に響く程の轟音が鳴る。
呆気に取られる村民。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事だろう。
笑える。
「さて、本命見つけて帰るか。」
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作者名：はて | 作成日時：2021年10月20日 0時
