12話 ページ12
「双子を生かすのは賛成だがあの子供は駄目だ。」
「術式の複数持ちは大変珍しい。殺すには惜しい。」
賛否両論。
周囲で生かすか殺すかの声が飛び交う。
あぁ、なんで上の連中はいつもこうなんだ。
「君は何をしにここへ来た?」
「子供達を引き取りに来た。」
私の言葉に笑う者もいれば呆れて溜息を吐く者も。
勿論断られる。
上は力を持つ者を人として扱わない。
所詮は道具なんだ。
だから自分達の都合で生死を決める。
どうせ私の時もそうだったんだ。
「君が親になると?」
「私が拾ってきたんだ。問題は無いでしょう。」
「ここ最近君は神獣にも等しい存在を従えているそうじゃないか。まさか、我々上層部を潰そうとでもしているんじゃないのかね?」
1人の発言で周りの人間がざわめき出す。
くだらない。
「そうだと仮定して貴方がたは私をどうするおつもりで?」
死刑ですか?っと鼻で笑いながら言えば黙れと言われる。
沸点低すぎな。
「こうしましょう。私が死んだらあの子達を好きにすればいい。殺して解剖すればいいし生かして呪術師として育てればいい。ただし、私が生きている間は子供達に一切干渉するな。」
上は子供達を呪術師として育てるか殺してしまうかの二択。
だが私は子供達を呪術師としてではなく人として育てたい。
人として、が前提だがある程度自分の身は自分で守れるよう教え込むつもりだ。
馬鹿が撒いた餌に釣られちゃ困るからね。
「私の話をちゃんと聞いてくれるのなら私は死ぬまで貴方達の駒として働きましょう。私の話を聞かないのであれば私は貴方達の指示には従わない。お望み通りここを潰してあげます。」
「脅しか?」
「提案ですよ。」
調子に乗るなと怒号が飛ぶが無視。
「それに今回の案件と子供達に関しては私に決める権利がある。報告は耳に入ってるはずだ。あんたらにどうこうできる存在じゃないこともわかってるだろ。」
黙ってガキ渡せよっと圧をかけて言う。
すると1人の人物が口を開いた。
「いいだろう。好きにすればいい。」
ただしと更に大きな声で言う。
「君にはその子供達の分も働いてもらう。」
「上等。」
吐き捨てるようにそう言い部屋を出た。
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作者名:はて | 作成日時:2021年10月20日 0時