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2:これでも一応女なんです ページ3

「高杉」

Aは隣でおにぎりを頬張る高杉の顔を見る。

「何だ」

「米粒がついておる。全く、これだからボンボンはダメだな」

そのしかめっ面には米粒がついていてその対照さがおかしくて少しだけ笑ってしまう。

「何がボンボンだ。下級武士の家だって散々馬鹿にされてんだ」

「いいじゃないか、俺なんて…」

両親だけではないお婆にも先立たれて天涯孤独の身なのだから。そう続けようとしたら足元に温もりを感じて言葉を止める。

「猫…狐か?」

「人懐っこいやつだな。腹が減ってるのか」

喉を鳴らしてAの足に頭を擦り付ける動物に高杉も興味津々に眺める。

「この神社は稲荷であったか。狐は米を食べても良いものか?」

「おいなりさんとか供えるしいいんじゃねぇか」

そっと耳と耳の間を撫でると目を細め悲鳴のような声で鳴く。

「面白い鳴き声をするな。お前も食うか?」

おにぎりをほぐして米の部分だけを口元に差し出すと勢いよくかぶりつく。

「高杉並のいい食べっぷりだな」

「俺並みのってなんだよ」

「可愛いなぁ〜」

「無視か、無視なのか」

喚く高杉を無視してAは狐と思わしき動物を撫で回している。狐の方も嫌ではないかされるがままにキャーキャーと鳴いている。

悲鳴のようだが甘えている印なのだろう。

「ここの守り神か何かか?」

Aの問いかけを無視して狐はするりと足元から抜け出すとAの膝に乗った。

「お前…可愛過ぎないかぁ〜」

ギューッと抱きしめるとそんなことを言うAに高杉は若干引き気味だ。

「お前動物好きなのか」

「あぁ。動物はいいぞ。可愛いし癒される」

「そ、そうか」

あまり見たことの無い満面の笑みで返されて高杉は少々たじろぐ。普段見るのは勉学に励む真剣な顔が多い。

「お前、笑うとちゃんと女なんだな」

「む。失礼な…私だって一応女なんだからな」

そこで一応を付け足す時点で間違ってるのでは…と思うが黙っておく。

「さて…そろそろ戻るとするか」

「俺は行かねぇぞ」

「なんだ?怒られるのが怖いか」

そんなんじゃないと高杉が言う前に狐を膝から下ろしたAは高杉に手を差し伸べ、言う。

「私と一緒なら怖くもないだろう?」

微笑んでおどけたように言うAの手を取って立ち上がると高杉も口元を僅かに緩めた。

「そうかも知れねぇな」

手を取り合って駆け出した二人の少年の背中を狐はじっと見つめていた。

3:黄昏時には少ししんみりとした気持ちになる→←1:サボり魔の悪童と神童



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茉莉(プロフ) - 宇治さん» めちゃくちゃ返信遅くてすみません!宇治さん、ありがとうございます!! (2019年5月5日 22時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - こんばんは、宇治です。女の子要素無しの夢主、良いじゃないですか…!!好きです。とても。更新頑張ってくださいね!応援してます! (2019年4月15日 0時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 赤蛮奇さん» ですよね!幼少期はみんな可愛いですけど高杉の可愛さは異常…!ありがとうございます (2019年4月4日 12時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
赤蛮奇 - 幼少期高杉ヤバイですよね!アレはもう犯罪級ですよね!更新頑張ってください楽しみにしてます! (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - (о´∀`о)さん» ありがとうございます! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉莉 | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2019年3月24日 9時

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