11:松下村塾の悪ガキ三人 ページ12
青白い満月が昇っている。
気味の悪い夜だ。
｢高杉。こんな夜更けに遊び歩いていいのか。今度こそ勘当されるぞ｣
一人夜更けに立つ高杉にAは声をかける。
｢心配いらねぇよ。どうせ明日には勘当される身だ｣
高杉はあの後例の連中をしょっぴいていた。
もう問題は起こしたあとだ。何にせよ勘当されるに決まっていると高杉は思っている。
｢A。お前こそこんな所で夜遊びしていたら折角の特待生も取り消しだぞ｣
｢心配はいらん。丁度くだらんゆとり教育にはウンザリしていたところだ｣
ため息をついて腕を組んだAは返す。
｢夜になる前に逃げるよう伝えておいた｣
AはAであの後松下村塾の塾生達を、松陽と銀時を心配して逃げるように伝えていた。
｢借りは、返さんとな。名門講武館きっての神童と悪童が組むんだ。役人の足止めくらい容易かろう｣
その後どうなるかは今は知ったことではない。
｢名門の二人？笑わせるな｣
突然高杉でもAでもない声が聞こえて二人は視線を前になげかけた。
｢国家転覆を狙う反乱分子を育成する悪の巣。松下村塾の悪ガキ三人の間違えだろ｣
なんでこんな所にこの少年が…
｢お前何故ここに。逃げろと言ったはず｣
｢そりゃ松陽の話だろ。なんで俺まで逃げなきゃならねぇ｣
少年は鼻の穴に指を突っ込むと二人の方へ歩みを進める。
｢それに学校のサボり方から夜遊びまで覚えたんだ。もう手前らは立派なうちの門下だ。別れの挨拶くらい来るさ。もうこれで十分だ。後は俺がやっから手前らは手を引け｣
自分たちより先へと進んだ少年に二人は視線を投げる。
別れ…か。
｢どうせ俺と松陽は流れもんだ。居場所なんかどうにでもなる。だがお前らは違うこれ以上関わったら戻れなくなるぞ｣
銀時の問いに二人は何も返さない。
もう戻れなくなるも何も、二人の日常は既に変えられてしまったではないか。
｢士籍を失いてぇのか｣
｢戻る場所なんぞあったらはなからこんな所に来ねぇ｣
｢お婆が死んでから天涯孤独の身。何より士籍などという肩書きが必要な者にはもうなる気はない｣
少年の隣に高杉とAは立つ。
｢もしそんなもんがあるなら誰に与えられるでもねぇ。この目で見つけ｣
｢この手で掴む｣
高杉の言葉に続いてAもそう宣言すると二人は竹刀を構えた。
｢そうか。じゃあもう何も言わねぇ｣
青白い満月を背に三人は並び立った。
12:松下村塾へようこそ→←10:決して怪しい者では…と言う奴ほど怪しい者だったりする
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茉莉(プロフ) - 宇治さん» めちゃくちゃ返信遅くてすみません！宇治さん、ありがとうございます！！ (2019年5月5日 22時) (
レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - こんばんは、宇治です。女の子要素無しの夢主、良いじゃないですか…！！好きです。とても。更新頑張ってくださいね！応援してます！ (2019年4月15日 0時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - 赤蛮奇さん» ですよね！幼少期はみんな可愛いですけど高杉の可愛さは異常…！ありがとうございます (2019年4月4日 12時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
赤蛮奇 - 幼少期高杉ヤバイですよね！アレはもう犯罪級ですよね！更新頑張ってください楽しみにしてます！ (2019年4月3日 2時) (レス) id: 2a668a49bb (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - (о´∀`о)さん» ありがとうございます！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: 51e720f33e (このIDを非表示/違反報告)
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