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「あんたが、来たばっかりなのに試合に呼ばれないのってただ弱いだけだよ」
ふと、その頬にできたかすり傷を見つけて僕はそんな声が出ていた。そっか、とテディホワイトは肩をすくめて、「君、みたいにハンターの足止めは、できないからね…。抜けられたら、終わりだし、僕、不器用だから、タイミングも…難しくて」とまるで僕の言ったことが正しいみたいな返答をした。
いいのに、怒ったって。僕だってキャンバスを奪われてうんとずっと弱くなった。ずっとずっと試合に出る回数は減ったし、今の彼と同じくらいの頻度なんだから、せめても僕に言われる義理はないくらい、言ったっていいのに。
「あ、でも僕は、リリーの、応援を受けられるよ」
リリー、ああ。応援団の。あの少女か。僕は彼女が遠くで応援してくる様を思い出していた。テンパってしまうテディは彼女にひとこと、大丈夫!と応援してもらえればもう一段の壁くらい余裕で出せるのだ。それは、確かにそうだけどそれが何か関係するだろうか。
「エドガー、はお絵描きする…時間が必要だからね」
「お絵描き…って」
「じゃあ、強さじゃ、とんとんかも、ね。よくかんがえたら」
きらり、とわらった。でも僕は明日試合があるよと負けじと告げるとぼくはないやぁ、とちょっと寂しげにコップをにぎったのでまあそんなこともある。と意味もなく背中をさすってやった。まあ、その、骨ばった感触が気味が悪くて、僕の服に虫が入り込んだような錯覚をしてしまったけれど人と喋るのは苦手なくせに触れられるのはいいんだってわかったのはよかったかも。
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作者名:ちーうし | 作成日時:2024年1月22日 0時