きみのヒーローになる

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「手越、」

『ん？』


返事はかえってこない。
ふと横を見ると、つらそうな表情を浮かべ、眠りについていたまっすー。


「行かないで」


『…ごめんね、まっすー。』


「やだ、」


『俺だって、』


俺だって、離れたくない。まっすーのそばにいたいよ。
でも、もう死んじゃったから…



「もう、やっ、」


俺がいない世界で、まっすーは生きていけるのだろうか。その答えは、きっと、




“ＮＯ”




わかってる。まっすーは強がりなだけで本当は繊細で泣き虫。
だから、支えが必要。


でも、俺がいなくなった世界に、まっすーが甘えられる頼れる誰かがいるかって、


いないんだよ。



だから、せめてもの救いの手として、

ちょっと、お節介だけど、今の俺にはこれが限界だから、





俺はまっすーの携帯を開く。

暗証番号は犬時代に何度も覗いてた。


そして、LINEを開く。

『1111』

LINEの暗証番号は、俺の誕生日。

俺の相方、可愛いでしょ？俺のこと大好きなんだよ。


NEWS(4)

を開く。


『今日、増田家集合( *¯ ꒳¯*)』


まっすーみたいな絵文字を使って、みんなの興味を引く作戦。

既読1

既読2


みんなはやっ


シ【ん？今日？なんかあったっけ？】

小【りょーかーい。まっすーの家(*´ω｀*)】


シゲちゃーん、いいから来ておくれ……なんて心の中で願う。


小山さんはなんの疑いもなしに来る。

…チョロい…


増【大事な用事。シゲも絶対に来て！】


シ【了解】



いつも通りの簡潔な2文字。“了解”。

それさえも懐かしくてつい笑っちゃう。



俺は携帯の電源を落としてまっすーの布団にこっそり入り込んだ。

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