きみのヒーローになる

8 ページ9

ﾁｰﾝ

「手越、今日はねメンバー全員で集まったんだ」


まっすーは、優しい目で俺の写真を見ながらそう呟いた。


「そしたらね、みんな尋常じゃないくらい泣いちゃってさ。」


そんなの、増田さんもじゃん。俺は知ってるんだからね


「もー、困っちゃうよ。この3人でNEWSできるのかなあって。」

それは、俺のセリフ。


「ははっ、ほんとに、手越も困っちゃうよね…」

頑張って笑ってるまっすーを見ると俺のなにか大切なものが失われる気がするんだ。

それは、目に見えないものなんだけど。


「俺らの力でみんなを幸せにしなきゃいけないのに。そんなことできない気がする。そう考えるとさ、」


まっすーは、言葉を区切り泣きそうなでも、どこか幸せそうな表情を浮かべた。


「なぁ、手越、お前ってすごいな」


(なにさ、随分と上から目線な。)


俺がすごいなんて今に始まったことじゃないでしょ？


「今更？って思われるかもしれないけど、本当に改めて知った。」


「俺さ、幸せだったんだ。NEWSやってて。」


まっすーって、1人の時こんなにたくさんの表情を見せるんだなぁ。親発見。


「きっとファンの子たちも幸せだったんだよね。」


(そりゃぁ、増田さん。ファンのみんなを幸せにすることが俺の宿命だからな)


「ファンのみんなが幸せだから、俺も幸せなんだと思ってた。でも、たぶん違うんだよね」


「手越っていう存在が、メンバーっていうものが、俺の支えとか幸せにしてくれる種だったんだね。」


(ふふ、まっすー、やけに素直じゃん)


「手越はファンの子も俺のことも幸せにしてくれてたんだね。そんな存在が簡単に消えちゃうなんて、悲しすぎるよ」


(あー、まーた泣くんだから)


「ねぇ、手越っ、俺もお前のこと幸せにできてたかな、？」



まっすー…




「ちゃんと、ありがとうって返せてたかな？」




「お前のこと笑顔にできてたのかなっ、？」





まっすー、そんなのさ、当たり前じゃん





(俺は今も昔も幸せ者だよ。)

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す