30.5話 ページ32
【飯田視点】
ー数日後ー
飯田「…」
あれから、僕はヒーロー殺し・ステインを倒した。
緑谷君と轟君の力を借りて。
飯田(復讐、になるのだろうか。)
そんな事を考えながら、校舎の裏を歩く。
飯田「あ…」
A「！飯田君。」
そこにはベンチに座る古塚先生がいた。
いつものコートは着ておらず、シンプルなワイシャツとホルスターサスペンダーが目に入る。
A「ステインと遭遇したって聞いたよ。あれから怪我の方はどう？」
飯田「もう大丈夫です。包帯も取れましたし、授業にも普通に出れます！」
A「そっか、なら良かった。」
飯田「……」
先生は知らない。僕らがヒーロー殺しに遭遇しただけでなく、ソイツを倒した事を。
飯田(当たり前か、ただでさえ先生はヒーローじゃない。普通の＿＿普通？)
僕はふとUSJでの出来事を思い出した。
峰田君から聞いた事だが、オールマイト並の敵を一方的に捩じ伏せたと。
嘘だと思ったが、隣にいた緑谷君と蛙水さんは否定しなかった。
飯田「あの、先生はお強いんですか？」
A「えっと…純粋な強さだと、プロの方々には負けるよ。精神面だと…やっぱり、時に弱くなる。」
先生らしい受け答えだ。客観的に見て、広い視野で自分を分析できる。
飯田「なら、先生から見て…俺は強いでしょうか？」
A「……何か、思う事があった？」
飯田「……」
飯田「兄さんが生きてて、良かったです。」
A「うん」
飯田「それだけで良いかなと、思いました。」
そう言うと、校内で予鈴が鳴った。
飯田「しまった！もう戻らなくては!!それでは先生！」
A「……さっきの質問だけど、飯田君は強いよ。」
飯田「…はい」
こちらを真っ直ぐ見て先生は言った。静かに、それでいて優しい声だった。
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作者名：つぶみ | 作成日時：2019年11月14日 23時
