ごー！ ページ5
「...受賞おめでとう、ジリアン。いい演奏......でしたわ」
「おめでとう、ジリアン！」
「ふふ、ありがとう。さっきお母さんに連絡したら「お祝いにケーキを焼く」なんて言いだしちゃって。」
「いいお母様だね。」
「でも本当にボクなんかでいいのかな。みんなとってもいい演奏だったと思うし、僕はてっきりノエルが選ばれると思ってたよ」
「ジリアン...」
こいつ天然で傷口に塩をぶっかけてやがる...
「...」
悔しい…だろうな。
「ほら、ピアノ教室でもノエルは一人だけレベルが違ってたじゃない
おまけにご両親もプロだしノエルのこと、ひそかに目標にしてたんだよ？」
傷が抉られていく
「ボクなんて教室の中で1番貧乏だしこういう場所でのマナーもよくわからないし……。」
それ以上は・・・
「だからこうして式典奏者に選ばれたのもきっとノエルとの練習の日々とクリスタがレッスンをつけてくれたおかげで・・・」
言っちゃダメ
「.........だから」
「え？」
ガッシャーンとガラスが割れる音がする。
ハラハラと結晶が落ちていく様はとても綺麗だ
「ノエル！」
「だから今わたくしがどんな気持ちだ、と笑いたいのでしょう！？」
「ノエル」
「チェルクェッティの娘が無様な姿をさらす今！それを見て優越感に浸りたいのでしょう！？」
「ノエル！！！」
「ちょ、ちょっとノエル、ボクはなにもそんなつもりで言ったんじゃ・・・」
怒鳴られるとは思っていなかったジリアンは戸惑いながら否定をする
「.........っ失礼しますわっ！」
そう言って会場から出ていった
「...私、ノエルを追いかけてくるね。」
「う、うん...」
「それに…ノエルが言ったことは、きっと本心じゃない。絶対に。ジリアン、またね」
そう言って、私はノエルを追いかけた
｢クリスタ…」
どこか寂しそうな彼女を置いて。
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