▼ ページ10
エースさんから殴られたあとの記憶がなく、次に目覚めるとそこは病。
近くのナースさんに事情を聞くと、エースさんの炎付き拳がクリーンヒットし口内を大きく切ってしまった事に加えてかなり火傷を負ったとの事。
確かに、口の中は鉄の味ばかりだ。
とんだ災難に会ってしまった。
頬をさすりながら思っていると治療してくれたナースさんが話しかけた。
「なんでアンタ、平気そうにしてるのよ」
『え?』
なんの事だろうと思っているとナースさんは私の手を握り泣き出しそうにしながら言う。
「アイツらの事よ。 見てるんだからね、Aが暴力振るわれてるの……。私達ナースは、"ナース"だからアンタと違って戦いに出ないし、アンタを取り囲むそういう、"仲間"っていう意識も強く芽生えないわ。けれど、それでも同じ女としてアンタの事はナース一同みんな好んでいるわ。ねぇ、A、アンタ、シオリって子のせいでこうなってるんでしょ？そうなんでしょ？」
『…………そんなに想ってくれてるなんて初めて知った…。ありがとう。でも、こればっかりは半々、かな。全てがシオリだけのせいじゃないんです。というより出来ない、の方が的確かもしれません。
私があの時、もっと強くて。賢ければ、もっと別の方法を考えていればシオリの恨みを買うことも、あんな思いをさせないで済んだので、』
「……あんたって、バカで可哀想なほどお人好しね」
ナースさんはそれだけ言うと、いつもの業務口調で「もう自室に戻っていいわよ」と私を帰し別室に行ってしまった。
『ありがとう……ございます』
小さく言って私は部屋を出た。
空は真っ黒だった。
あれ、意外と寒いな。
ブルリと体を震わせ私はそそくさと自室に戻った。
寒かった外の気温も、ナースさんの言葉を思い出せば少し暖かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏 - ページ34 追われたが終われたに (2020年3月19日 23時) (
レス) id: 3f29d20ec2 (このIDを非表示/違反報告)
カッパ - とても面白いです！続きが気になります！更新頑張ってください！ (2020年2月2日 0時) (レス) id: 890b8aa433 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 思わず泣いてしまいましたwこれからも頑張ってください！ (2020年1月30日 22時) (レス) id: 1a02a166b9 (このIDを非表示/違反報告)
腐ったお餅(プロフ) - いっぱい更新されてる！これからも無理せずがんばってください！応援してます！ (2020年1月29日 6時) (レス) id: 777a8351c1 (このIDを非表示/違反報告)
ネム(プロフ) - カルシウムさん» ありがとうございます！ (2020年1月29日 3時) (レス) id: 588b5b18ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ネム
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月22日 7時
