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鬼と人間の絆 ページ3

兄は斧を構え、妹は鋭い爪をもってこちらに向かってくる。

しかも、正直 いきなり変な世界に飛ばされた上に能力も使えないんじゃあ、瞬殺はまず無理である。

少し怪我をしてしまうかもしれない。

まあ、すぐ治るのだけれど。

でも 先程言った通り今の事態で変に怪我を負って血を消費するのは、あまり良い考えではない。

では 逃げる?

いや、私もお腹が空いている。

この雪の中 餓死なんて嫌だ。

やはり この2人を食べるしかない。

しかしどうやって…

「…ふふ、考え込むなんてらしくないわね。
ただ二人の子供を壊すだけじゃない!」

ここで私は考えるのを放棄した。

能力が使えなくとも、今まで通りやるだけなのだから。

そう考えたらもう動くだけ、地面が割れる程強く蹴ると、まずは鬼の妹の腹へ爪を…

「やめろぉぉぉぉっ!!!」

…この兄妹は何故こんなに私を驚かせるのだろう。

そう思いながら、妹を突き飛ばし自ら攻撃を受ける 兄を眺めていた。

自分の表情は変わっていないけれど、正直 とても現実的ではない驚くべき行動だったであろう。

それと 同時に、自分の口からも意思がないのに言葉が溢れ出る。

「なんで庇うの?
その子 この世界で言う鬼なんでしょ?
人殺しなんでしょ?
貴方達人間の敵でしょ?」

それは、私の悲痛の声だった。

私の世界では 鬼や吸血鬼なんていったら 善悪もなく殺されて。

誰も庇ってくれなくて。

お姉様はちゃんと悪い人間を狙って食べていたのに。

なのに…なのに……

「……大切な人…なん…だから……
当たり……前だろう……」

そんな中、彼はぽつりと呟いた。

それは確かに、姉をもつフランからして十分すぎる理由だった。

そしてその言葉で、私は幼い頃の無垢な自分を思い出す。

吸血鬼と人間が仲良くなれる世界を夢見ていた頃を。

人間の親友を欲しがっていた頃を。

兄を心配して駆け寄る妹を呆然と視界に映しながら、私は すっかり毒気を抜かれたように立っていた。

この兄妹が これからの私のお姉様と同等に大切な人になるなんてつゆ知らず。

炭治郎との約束→←兄と鬼の妹との出会い2



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ゆっくり四つ葉 - 素晴らしい作品をありがとうございます!頑張ってください! (2020年8月6日 21時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!恥ずかしいですが、大好きです! (2020年3月13日 18時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
シオンちゃん大好き!!(プロフ) - 最高 (2020年1月22日 12時) (レス) id: 626da14d5b (このIDを非表示/違反報告)
みどり - フランが鬼滅の刃の世界に…こういうの好きです!(人''▽`)ありがとうございます(?)更新頑張ってください! (2019年12月29日 18時) (レス) id: ae6be26781 (このIDを非表示/違反報告)
甘雨《カンウ》(プロフ) - 名無しさん» こちらこそ度々すみません!確かに二次元創作多いので分かりずらいですよね… (2019年12月7日 22時) (レス) id: f48cf8b271 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花月?? x他1人 | 作成日時:2019年12月1日 21時

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