約束 ページ30
薬研藤四郎side
柔らかい光を瞼に感じて目が覚めた。
............柔らかい.....光?
光なんて、昨日まではなかった。
昨日までは____。
まさか一晩でこんなに変わるなんて思いもしなかった。
さすがは陽刀渡神ということか。
それにしても、なぜここにいるんだ?
ここは粟田口の部屋じゃない。
しかも、布団に寝かされている。
周りを見るために起き上がろうとしたが、上手く起き上がれない。
モゾモゾと体を捻って横を見ると、審神者がいた。
____なぜこんな所に?
審神者は俺の布団の横で正座をしたまま、かくかくと首を揺らしてうたた寝をしている。
審神者の寝顔はとても幼く、昨日のような恐ろしさとは無縁のような顔をしていた。
不思議な女だ。
俺がじっと顔を見つめていると、視線に気づいたのか、審神者が目を覚ました。
『ん、う〜ん............あ、おはよう。薬研くん』
「あ、ああ」
審神者は俺の背中にそっと手を差し込んで起き上がらせてくれた。
長い沈黙があって少し気まずい中、ずっとあった疑問をぶつけた。
この時は混乱していて、言い方がきつくなったのに気づかなかった。
「なあ、なんで俺を手入れしたんだ?何が目的だ?お前も俺たちに危害を加えるのか!?」
言い終わってから気づいた。
言い方が刺々しくなってしまっていること。
だが審神者は笑顔を崩さない。
ずっと気になっていたんだ。
様子を見る限り、審神者は危害を加えるつもりなんてないだろう....が、見ただけでは確信できない。
現に俺っち.....俺は、いざ審神者に対面するとなると、怖くて動けなかった。
情けないが......。
『最初の質問から答えますね』
そう前置きした審神者は、丁寧に言葉を返してきた。
『手入れをしたのは、あなたのことが大切だから、目的は........ん〜、特にないかな』
「はっ!?なんの目的もなしに手入れしたのか!?それに、俺っt......俺とは初対面だろ!?」
『???......確かに、話すのは初めてだけど、一回大広間であってるよね?あ、あと最後の質問ね。絶対に危害加えないよ!約束する!』
「なっ!.....同じ神とはいえ、約束を守れなければその分代償は大きい。そんな軽々と約束して........」
『軽々とじゃないよ。...例えなにか理由があったとしても、傷つけたらいけないのは同じでしょ』
審神者は俺の言葉を遮ってそう言った。
それをきいていたら、急に視界が曇ってきた。
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陽香(プロフ) - 空波さん» ありがとうございます!正直ちゃんと清光のいい子さが伝わるかなと自分の表現力に自信が持てなかったのですが、伝わったようで良かったです。嬉しいコメントありがとうございます (2020年7月24日 7時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
空波 - とっても面白いです!!最後で清光いい子だなぁと感動してしまいました…! (2020年7月23日 12時) (レス) id: 24df3d328f (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 良かったです!これからもどんどん出していくつもりなので、楽しんでください! (2020年5月12日 18時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
姫那(プロフ) - 推しの2人(兼さんと堀川くん)がでてきてうれしい! (2020年5月12日 18時) (レス) id: 02928c87bc (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 八重乃 真鈴さん» 応援ありがとうございます!頑張ります! (2020年5月3日 8時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽香 | 作成日時:2020年4月12日 10時