手入れ ページ44
『じゃあ、手入れするから、そこ座って』
「は、はい」
ビクビク怯えながら一番最初に前田くんが目の前に座る。
それが何故か、他の刀のために、自分を犠牲にしようとしているように見えた。
せ
＿＿＿そういうのは好きじゃないな
怖がらせないように自分も座って、目線の高さを合わせる。
『前田くん＿＿＿って呼んでもいいかな？』
「え＿＿＿はい」
『良かった........あ、ちなみに、実装済の刀は全振り把握してるよ。ﾆｺｯ』
そう言って笑いかけるが、逆に恐怖を煽ってしまった。
四振りの顔が引き攣る。
それを見て慌てて付け足した。
『あっ！！........えっと、言霊とか、そういうのは使わないから！』
「........え？」
「違うんですか？」
「........本当に？」
やっぱり短刀たちは純粋だなぁ。
その気がないとはいえ、すぐ騙されちゃいそうで心配だ........。
『うん。...............あ、手を出してもらってもいいかな？』
聞いたけど、ビクッとして固まってしまった。
『ありゃりゃ、どうしよう。どうしたらいいと思う？薬研』
そう言って薬研を見ると、俺か？と言いつつこっちに来た。
前田くんの前に座って、笑いかける。
「大丈夫だぞ。大将は本当に何もしないからな」
ほら、と言って、薬研は私の頬を手でムニムニと遊んだ。
「や、薬研兄さん！？」
前田くんが慌てて止めに入ろうとするが、私がそれを止める。
『らいひょーふらいひょーふ(大丈夫大丈夫)』
「ほらな」
ドヤっと笑う薬研、可愛い。←
「は、はあ」
前田くんは、そう言っておずおずと手を出した。
........が、触ろうとすると、やっぱり怖いのか、ビクッと震える。
仕方が無いので、触るのはやめて、両手でその手を包むようにして、霊力を流す。
前田くんは驚きつつも、少し恐怖が薄れたようだった。
「あ、ありがとうございました」
『いえいえ』
前で手を振って全然平気だと言うと、前田くんは不安そうに聞いてきた。
「あ、あの、本当になんの代償もなくてよろしいのですか？普通の神とは、我々付喪神と違って、何か対象の大切なものを代償にすると聞いたのですが........」
『........何言ってるの？着いてくる許可を出す代償に、手入れしてるんでしょ？ｸｽｸｽ』
そう言うと、前田くんは少しずつ明るい顔になっていき、今度は笑って返事をしてくれた。
「っはい！」
＿＿＿笑顔を見られてよかった。
そう思った。
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陽香(プロフ) - 空波さん» ありがとうございます！正直ちゃんと清光のいい子さが伝わるかなと自分の表現力に自信が持てなかったのですが、伝わったようで良かったです。嬉しいコメントありがとうございます (2020年7月24日 7時) (
レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
空波 - とっても面白いです！！最後で清光いい子だなぁと感動してしまいました…！ (2020年7月23日 12時) (レス) id: 24df3d328f (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 良かったです！これからもどんどん出していくつもりなので、楽しんでください！ (2020年5月12日 18時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
姫那(プロフ) - 推しの2人（兼さんと堀川くん）がでてきてうれしい！ (2020年5月12日 18時) (レス) id: 02928c87bc (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 八重乃 真鈴さん» 応援ありがとうございます！頑張ります！ (2020年5月3日 8時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽香 | 作成日時：2020年4月12日 10時
