十七振:信頼できる人 ページ17
審神者は俺の目の前にしゃがむと、下腹部に手をかざした。
「っ!」
なぜこんな時に出てくるのか。
前任の時にさせられた夜伽の感覚が戻ってきて、体が強ばる。
しかし、俺のそんな恐怖は無かったかのように消え去った。
審神者の、彼女の霊力は不思議だった。
暖かく、優しい霊力だった。
ただ少し、神気のようなものが混ざっているように感じた。
少しして、中傷だった俺の傷は完全に閉じ、服も綺麗になっていた。
こんなに身が軽くなったのはいつぶりだろうか。
「助かった。…ありがとう、“主”」
A『え、今主って…』
この主なら、きっと........。
そんな想いを込めて主と呼び、横にはける。
小狐丸も緊張しているようだった。
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小狐丸side
三日月が審神者のことを主と呼んだ。
この小娘のどこにその要素があるかはまだ分からない。
手入れを受ければわかるだろうか…。
躊躇いつつ、審神者に近づくために前に出ようとする。
しかし、重症の体は言うことを聞かず、目の前に倒れ込んでしまう。
しまった…その後に来る痛みを想像し、目を瞑った。
…しかし、いつまでたっても痛みが来ない。
そっと目を開けると目前に畳があった。
不自然な高さで止まっている。
体を起こすと、目の前には予想外の人物…、審神者だった。
「す、すみません」
焦って体を離し、謝罪の言葉を述べる。
やはりどれだけ今までの審神者と違うところがあっても、迷惑をかけたら人格が変わるかもしれない。
罵倒されるかもしれない、暴力かもしれない。
恐怖で咄嗟にとった行動だった。
しかし、帰ってきた言葉はあまりにも予想外なものだった。
A『いえ!大丈夫です。お怪我…しかありませんね。今すぐ手入れしましょう』
「え?…罵倒…しないのですか?」
つい聞いてしまった。
心配されるとは思わなかった。
A『ば、罵倒…ですか??しませんが…』
驚いた。
今まではありえなかった。
呆けていると、隣から声が聞こえた。
三日月「はっはっは。小狐丸よ、驚いただろう?これが主だ。まあ、まだ俺も完全に信じきれた訳では無いがな」
そう言いつつも、少し嬉しそうに笑う三日月に、つい笑みが零れた。
__ああ、きっとこの方なら信頼出来る__
その日私は、そう確信した。
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陽香(プロフ) - 時雨さん» わざわざありがとうございます!すぐに修正させていただきます (2020年6月1日 18時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 誤字がありましたので伝えておきます(*^^*)弐拾話の6行目が「髪に近い妖怪」とあったのですが髪ではなく神だと思います(*^_^*) (2020年6月1日 8時) (レス) id: a4f27d0bac (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 八重乃 真鈴さん» 分かりました!コメントと応援ありがとうございます!候補に入れておきます! (2020年5月3日 8時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
八重乃 真鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!日が空いてもう書いちゃってるかもしれませんが、私は、加州が大好きなので、近いうちに登場させて欲しいです!これからも応援してます! (2020年5月3日 2時) (レス) id: 9f5e33e110 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - tibitomiさん» わかりました!候補に入れておきますね! (2020年4月29日 22時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽香 | 作成日時:2020年3月13日 0時