十五振:期待と賭け ページ15
三日月side
小娘は、今剣はまだこの部屋にいると言った。
そんなのは戯けごとだ。人間など皆同じ。
嘘をついているに決まっている。
…そう思った。
『だから私は、あなたがたを治したい!これ以上今剣さんが、あなた方が悲しい顔をしなくて済むように!』
小娘はこの言葉を言った時、目に涙を浮かべ、ついにはボロボロと泣き出してしまった。
これは本当に嘘なのだろうか。
先程とは逆の意見になっている、そう気付いて少し笑みが溢れた。
___この人間に賭けてみようか___
結局は、そうする以外道がないのだろう。
少しため息が零れた。
しかし、恨み辛みを感じるものではなかった。
「あい、わかった。手入れを受けよう」
そう言った瞬間、他のものたちから強い視線を感じた。
ちらりと見やり、大丈夫だと言うふうに目配せする。
小狐丸はわかってくれたようで、溜息をつきつつも頷いてくれた。
石切丸は苦笑しつつも頷いた。きっとあいつは最初から、手入れへの抵抗はあれど、あの人間を見定められていたのだろう。彼奴はこういう時強い。
岩融は、まだ信じられてはいないようだが、腹をくくろうとしている。
問題は審神者だ。
今は俯いていて、何を考えているか分からない。
言ってしまってから、少し後悔した。
なぜ、今更手のひら返しをしたのかと、そう言われるのではないか。
それに、手入れを頼んだ後、なにを見返りとして求めるのか分からない。
また、夜伽だろうか。
同じことを考えたのか、今まで黙っていた小狐丸が口を開く。
小狐丸「いいでしょう。私も手入れを受けます。それで、あなたは見返りとして何を求めるのです?」
その言葉を聞きながら、審神者に目をやると、丁度審神者が俯かせていた顔をパッと上げていた。
何を求められるのか。
無意識に体に緊張が走り、手を握りしめた。
A『な、何も求めません!』
小狐丸「はぁ........?」
その言葉は想定していなかった。
それは小狐丸も同じのようで、素っ頓狂な声を上げている。
対して審神者は、手入れできるのが余程嬉しいのか、満面の笑顔だった。
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陽香(プロフ) - 時雨さん» わざわざありがとうございます!すぐに修正させていただきます (2020年6月1日 18時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 誤字がありましたので伝えておきます(*^^*)弐拾話の6行目が「髪に近い妖怪」とあったのですが髪ではなく神だと思います(*^_^*) (2020年6月1日 8時) (レス) id: a4f27d0bac (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - 八重乃 真鈴さん» 分かりました!コメントと応援ありがとうございます!候補に入れておきます! (2020年5月3日 8時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
八重乃 真鈴(プロフ) - 初コメ失礼します!日が空いてもう書いちゃってるかもしれませんが、私は、加州が大好きなので、近いうちに登場させて欲しいです!これからも応援してます! (2020年5月3日 2時) (レス) id: 9f5e33e110 (このIDを非表示/違反報告)
陽香(プロフ) - tibitomiさん» わかりました!候補に入れておきますね! (2020年4月29日 22時) (レス) id: a10faff46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽香 | 作成日時:2020年3月13日 0時