二話 ページ2
蝉と人と街中の騒めき。
ワンピースでさえ風通しが悪くて、背中に張り付く感覚に顔を思わずしかめる。
隣で歩く彼＿＿＿、ヒョンジンも暑そうに服をパタパタさせている。
「暑いね」
『うん。汗かいてきちゃった』
「早く中入らないと溶けちゃう〜」
『私も〜』
「あ、そこのカフェ行ってみたかったんだけど…いい？」
人懐っこい瞳でおねだりしてくるヒョンジンに"いいよ"と頷けば、嬉しそうに喜ぶものだからこちらまで嬉しくなってしまう。
私はヒョンジンの笑った瞳が好きだ。
彼の瞳は素直に感情が現れる。喜怒哀楽がハッキリ分かるし、隠しごとなんて出来るほど器用ではない。
だからきっと知らない。
私が気づいていることなんて、知らないの。
「A？どうかした？」
『ううん？ このケーキ美味しいね』
「でしょ！友達からおすすめだって教えてもらってずっと来たかったんだよ。Aも気に入ってくれた？」
『うん！また来たいな』
「うん。一緒に行こう」
…あ、その目、一番好きな目だ。
優しく下がった目尻に私だけを映した瞳。
この瞬間、私が本当に彼のものだという自惚れを実感できるから。
好きだと言ってくれていたあの時と同じ瞳だから。
カフェを出て照りつけるような日差しに再び目を細めれば、そっと包まれる左手。
私より少し体温の低いその大きな手に、応えるように指を絡める。
「暑い」なんていう割に、どうして手を繋ぐのか。
そのうちどちらも手に汗を握り、どちらともなく手放すのが目に見えているのに。
だけど、それさえも愛おしくてたまらない。
「A！これAに絶対似合う！！」
『白いサンダルのこと？』
「そう！Aは色も白いし髪も真っ黒で綺麗だから、この白のサンダルも絶対似合うと思う」
ショーウィンドウ越しに並べられたサンダル。
装飾もシンプルで、ヒョンジンに言われずともそれは私好みの物だった。
彼があまりに似合うと急かすものだから、そのサンダルがもう手にいれることのできない貴重なものに思えてしまって。
彼が選んだこのサンダルで隣を歩きたいと、迷うことなく自惚れた感情にどっぷりと浸かっていく。
「＿＿＿＿＿俺からのプレゼントね」
何もかもが私を絡めとって離すまいと引きずり込んで
抵抗なんてしないままずるずると落ちていく。
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みんも(プロフ) - まるさんかくしかくさん» コメントありがとうございます！ まだオチは決めてないので、想像しながら読んでいただけると嬉しいです…！これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (6月1日 21時) (
レス) id: 9f345021ae (このIDを非表示/違反報告)
まるさんかくしかく(プロフ) - ハッピーエンドだと…嬉しいです！ (6月1日 16時) (レス) id: 6691782cad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんも | 作成日時：2023年5月31日 23時
