6.傷弓之鳥 ページ8
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及「あの時の市川ちゃんの思い無駄にしちゃいけないでしょ?」
さすが、及川さんだ
主将をやっているだけあって人を安心させられる力がある
私と春のことを知っているのは及川さんと家族だけだ
私は深呼吸をして話し始めた
『私は変えるつもりはないです
例え、春が私のことを怒っていても呪おうとしていても……悲しんでいても
私のせいで春が死んだのは変わらないんです』
『私はもう、友達を失いたくない……』
私の中にあるトラウマは想像以上に太くて長い鎖で縛られているようだ
及「俺は今でもAちゃんのことが好きだよ?別れてからもずっと……」
私と及川さんは付き合っていた
その頃は、もっと柔らかい雰囲気で徹先輩って呼んでいた
及「Aちゃんが市川ちゃんは自分をかばって死んだのに、自分だけ幸せになるなんてダメって思って別れ話してきたのは分かってるよ?
でもさ…
もう1回、徹先輩って呼んでよ」
2年間ずっと好きで付き合っていた彼氏と別れるのは辛かった
想像以上に、でも春のことを考えると
当たり前なんだと思った
及「あれから、忘れたことはない
もう一度、俺と付き合ってください
って!何その目は!!」
私は気づかない間に及川さんに呆れるような視線を送っていたようだ
『だって及川さん、この前女の人と歩いてたでしょ?岩泉先輩もこの前あった時、彼女5人くらいいるって言ってましたし…』
及「そ、それは!及川さん、Aちゃんに会えなくて辛かったんだよ!?
だから!」
『好きでもない相手と私付き合うなんて考えられませんし
これ、貰っていきますね?』
そう言って私はその場から立ち上がり及川さんの前においてあるオボンから飲み物をとり歩き出した
バニラシェイク……
もとから、春が呪うなんて考えてないのは知ってた
でも、友達を失いたくないから
私のせいで
もう二度とあんなこと起きたくないから
流れる涙をそのままにして私は歩いた
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傷弓之鳥 (しょうきゅうのとり)
一度弓で傷ついたことのある鳥は、弓をはじく音だけで恐れるようになる。転じで、一度の失敗でおじけづくこと。
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夢っち(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2018年7月30日 9時) (レス) id: f63022dff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マルコ | 作成日時:2018年7月6日 0時