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ゾムside
トントンがいなくなると、一人怯えたように此方を見つめる。
泣いていたのか、目が赤くいつもの彼女とは違う姿に心が痛くなった。
「A、Aの親殺したん俺やねん。」
彼女が立ち上がり一歩後ずさる。そりゃ怖いわな、そんなん知られてほしくないもんな。
追いかけないけど、追いかけちゃあかんねんけど、あまりに辛い。
ああもう嫌や泣きそうになる。
「トントンから聞いた？トントンがAを幹部に推薦してん。俺らのこといつ殺しに来るかわからんから警戒しとったけど」
『……』
「Aが幹部になってからすぐ俺は任務でオークションに参加させられた。そこで、君の肉親見つけて暗殺した。」
資料があったからわかった。
薬中特有の風貌に彼女と似ても似つかない汚いドブのような色をした目。
常に不気味に吊り上がった口に、汚らわしく見える衛生的じゃない黒髪。
こいつの娘がAだと考えるとどうしても殺したくなる。
「唯一の父親。殺したん俺やねん」
でも、唯一の肉親。
殺したのはさすがにショックもあるのだろうか、彼女の顔が見れなくて俯いていたら俺より背の低いAが近くに寄ってくる。
『ありがとお、』
「へ、」
顔を見れば微笑む彼女。
相変わらずいつ見ても綺麗で、戸惑った。
「せやから！せやから、Aが窓から出てった時に頭ん中真っ白になって。これだけは伝えな、俺が生きていけん気がして、」
『うん』
「もっと、いっぱい一緒にいたいやん、Aの事好きやもん。」
ぎゅ、と抱きしめればふんわり、抱き留められる。
涙腺が崩壊し、ぼろぼろ涙を流せば黙って抱きしめ返された。
かっこわる、こんなん。
「Aが好きやねん。好き、むっちゃ好き。離れんといて、此処が嫌なら一緒に逃げて。置いてかんといて、」
『……私、人が信じられなくて。天眼だから私の事捕まえたんか思ったら、違かったんですね。』
彼女も泣いている。
俺の腕の中で小さく震えている。
『ゾムさん、みんなは信じられへんけど、ゾムさんはなんか、ちゃうな思います。なんでやろな、ほんま、なんやろ。"私"を見ててくれとるって、わかるからかなあ、』
「っ、」
『泣かんとって、置いてかんから、捨てんとってくださいね』
そう言った彼女は、此方を見て小さく笑った。
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たい焼き - とっても面白かったです！オスマンがすっごい刺さりました！！ (3月18日 18時) (
レス) id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - あッ好き！！！！！ (8月7日 16時) (レス) @page47 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
Saklsaki(プロフ) - こんな胸に来る作品を作って頂き有難うございます。もう泣くかと思いました。月の下り良かったですよ。神作品でした。自分もこんな作品を作れるように頑張りたいと思いました。 (2021年8月19日 17時) (レス) id: 7893269b23 (このIDを非表示/違反報告)
夏目。(プロフ) - すきです。番外編待っとります (2020年10月4日 3時) (レス) id: c6ffa1b029 (このIDを非表示/違反報告)
漢字ノートが終わらない小学生 - めっっっっっっちゃ私の性癖にこう、 『グサッ』的な感じで刺さります！！！！ (2020年8月18日 15時) (レス) id: abb7299221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：壱
| 作成日時：2019年12月19日 18時
