理不尽クソ幹部から逃げるだけ.3【wrwrd!】

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ゾムside




公爵とダンスを踊っていて、何を話しているのか耳を澄ませばどうやら"天眼"の事を言っているようで息が詰まる。

彼女が壊れる前に止めなければ、と思い音楽が終わると同時に向かおうとすれば他国の伯爵令嬢に捕まる。



くそ、と思い視線を回し近くにいたシッマにアイコンタクトで彼女を止めに向かわせる。

この女、女からダンスに誘うのマナー悪いん知らんのか。


腹立つ。







なんとかシッマが公爵を止めてAと踊っているのを見る。

そして何故か気不味そうな二人の元へダンスが終わってから向かおうとすればシッマは別の女と、Aは壁にいたから声をかけようとすれば男が群がって呼べなくなった。


ほんま、このゴミが、とイライラを隠しきれず舌打ちを一度する。





「ゾム、Aが多分天眼に気付いた。やばい」

「知っとるわ、アホ」




　


大先生にそう言い頭を抱える。

せっかく仲良うなってきたのに、信じてもらえるようになったのに。


心の傷が治ってないまま新しい傷が付けられれば、きっと彼女は壊れる。






「…そんなん、あかんに決まっとるやろ」




また仮面貼り付けて会話せなあかんの？

無理や。

無理にきまっとる。俺はもう、こんなに彼女が好きなのに、無理や。


だけど彼女ならきっと信じなくなる。疑う子やから、天眼に興味が無いなんて言ったってわかってくれへん。

いやや。



絶対嫌や。

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