132 ページ33
.
幹部と一緒に踊るAに、男達はいつ声をかけようかと思っていた。
ちらりと目を合わせた男爵は顔を赤くし、微笑みを見た伯爵は生唾を飲んだ。
女の貴族は怒りを抱くがすぐに神秘的な瞳の美しさに吸い寄せられ、たちまち彼女に魅入っていった。
その光景に一人の公爵が真剣な顔で見ていた。
「__これは…初めてお目にかかるご令嬢だ。失礼ですが何故貴女はパーティーに?』
『__お初にお目にかかりますわ、レート公爵閣下』
踊り終わり、次のダンスの相手を待つAに公爵が話しかける。
急な事にも冷静に礼儀正しい振る舞いをする彼女とさっきまで一緒に踊っていたゾムは彼女から少し離れ近くにいた令嬢と踊りながらその様子を見ていた。
大丈夫だろうか、彼女は自身が幹部である事をあまりよく思っていないだろうから。
と考えるゾムを他所にAが綺麗なカーテシーをした。
『新しく我々国幹部に就任させていただきました。Aと申します。以後、お見知りおきを』
「ほお…これはこれは失礼致しました。あまりに可憐で美しかったので何処かの良家の令嬢かと。大変失礼な真似を…」
薄く微笑みを湛えるその顔は幹部達とはまた変わった落ち着きを払っていてまさに"公爵"に相応しい。
夕焼け色の瞳はこの世界に存在しているのかと思うほど暖かく光っていて、その前で此方も微笑むAの瞳と何処か似るものがあった。
「**国公爵、ラドラ・ディ・レートです。」
1938人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たい焼き - とっても面白かったです!オスマンがすっごい刺さりました!! (3月18日 18時) (レス) id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
暁 - あッ好き!!!!! (8月7日 16時) (レス) @page47 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
Saklsaki(プロフ) - こんな胸に来る作品を作って頂き有難うございます。もう泣くかと思いました。月の下り良かったですよ。神作品でした。自分もこんな作品を作れるように頑張りたいと思いました。 (2021年8月19日 17時) (レス) id: 7893269b23 (このIDを非表示/違反報告)
夏目。(プロフ) - すきです。番外編待っとります (2020年10月4日 3時) (レス) id: c6ffa1b029 (このIDを非表示/違反報告)
漢字ノートが終わらない小学生 - めっっっっっっちゃ私の性癖にこう、 『グサッ』的な感じで刺さります!!!! (2020年8月18日 15時) (レス) id: abb7299221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:壱 | 作成日時:2019年12月19日 18時