小さな勇気… (ページ1)

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…１×× ページ1

…you side

看「はーい、愛梨ちゃーん。

検温の時間だよ～。」

今日も暇な１日が始まる。

白い壁を見つめて…

何もない中庭を見つめて…

少しずつ過ぎていく時間を

何もないように過ごす毎日。

憂鬱で平凡で面白味のない日々。

看「愛梨ちゃん？」

愛梨「ん？あぁ、ごめんなさい。」

心配そうに私の顔を覗き込んだ

看護師にそれとなく謝る。

どうしてこうなった、とか

もう考えるのも面倒になっていたある日。

私の隣のベッドに男の子が来る

と看護師に聞いた。

なんだか私と同い年なんだとか…

ま、私には関係ないけどね。

堺「愛梨ちゃん、愛梨ちゃん！」

ふと私のことを呼ぶ声で

現実に引き戻された。

声の主の方を見ると…

愛梨「堺ばぁちゃん！」

ベッドから飛び降りて

堺ばぁちゃんのもとに行く。

この人は私が入院すると決まった日に

たまたま出会った優しいおばぁちゃん。

堺「これねぇ、おせんべい。

おばぁちゃんで歯がなくて入れ歯でねぇ

食べれないもんだから、あげる。」

と、袋を私の手にかけると

微笑んで去っていった。

堺ばぁちゃんはガンで

この病院に入院しているという。

それでも、毎日私のことを思って

ここまで来てくれる。

そんな堺ばぁちゃんの優しさを

心に染み込ませながら煎餅を一口かじった。