【鬼滅の刃】煉獄と霧氷【煉獄杏寿郎】

hoarfrost...4* ページ4

懐かしい夢を見た
まだ姉が生きていた頃の夢を


「ねぇA。貴方は何を持って鬼を狩ろうとするの？」


そう聞いてきた姉に、私は何と答えたのだろう


「私は、皆が笑顔になる為に刃を振るう。」


真っ直ぐ前を見据え、そう言った姉は


「だから、貴方も。……笑顔でいてね」




少し悲しそうに、笑っていた




……______




『……』


「よろしくお願いします！氷柱様！」


『よろしく。』


合同任務。
お館様が言うには、柱の仕事ぶりを見ることで新人達を奮起させる……ということらしい


「何が起こったのか分からなかった……」


「怖ぇなあの人……てかなんか寒くないか？」


実際、奮起どころか大半は理解されずに終わる


『……今日はお疲れ様。また後日、会えたらよろしく』


そう言って立ち去ろうとした時、声をかけられる


「あの……」


『何か…………？』


「なんで、感情の音がしないんですか？」


顔を少し赤らめ、おずおずとそう聞いてきた
この時代では珍しい、金髪の少年。
この少年は、耳がいいのか


『氷の呼吸を使う時は感情を昂らせてはいけないの。』


「どうしてですか？」


『冷たい氷が、自身の熱で溶けてしまうから』


そう言うと、少し悩んだ風に首を傾げ
そうなんですか、と言って去っていった



『……感情の音がしない、か』



まさに理想。
少しでも感情を持てばすぐに威力は下がってしまうのだから

……でも、


«笑顔でいてね»


これは、本当に、姉の望んだことなのだろうか

姉を失ったあの日から、この何の役にも立たない命を姉に捧げようと思った。
姉が成し遂げようとした事、それは柱になることだったから
私は柱になって、それから、


『……』



それから？



『……ぁあ』



姉は、どうしたかったのだろう。
人を笑顔にする為、その為に刃を振るっていた姉
なのに私は？

氷の呼吸を使う為に感情を無くしすぎて、他人は元より自分でさえも笑顔にできていないじゃないか



「A？今終わったのか？」



『……杏寿郎』







じんわり、心が熱くなる





「A？どうしたんだ？」




もう、今は姉を想っていたってどうでもいい。


杏寿郎と居る時だけは、私の心はざわめくのだから




『杏寿郎、』



ﾄｽﾝ､と杏寿郎の胸におさまる
珍しい、とそう言いつつ抱きしめられて



「今日はどうしたんだ？いつもよりも積極的だが……」









『ねぇ杏寿郎お願い……



……________抱いて』

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