hoarfrost…20* ページ20
「ありがとうございます、鬼狩り様……」
『気にしないで。傷は大丈夫?』
「大丈夫です、本当にありがとうございました……!」
……____
『ふぅ、……さすがに2地区はキツイなぁ……』
あれから、お館様に許しを得て、杏寿郎が担当していた地区と元々自分が担当していた地区を見回っている
『…………あ』
空を見ると朝日が登りかけている
眩しい光に目を細めて、刀を仕舞う
『……』
少し風が吹いて、髪が揺れる
新調した、炎と氷が混ざったかのように彩られた羽織を羽織り直し、少し寄り道をする
杏寿郎の死はやはり鬼殺隊にとっても痛かったらしく、鬼による被害は少しずつ増えてしまっているみたいだ
なんとか残りの柱で支えてはいるが、いつ崩れるか定かではない
『……』
死の間際、最後の一振
自分が死ぬとわかっていても尚刀を奮った貴方は
……_____
『ねぇ、杏寿郎……
……___何も想って、刃を持ったの?』
返事が返ってくるはずもないのにそう呟いた
”次”なんてないし、”また”もない、そうなると”今度”もなくて”明日”もない。
そんな人に、未だ想いを寄せている私は、馬鹿みたいだ
怒ると怖いくせに、変な所で抜けてて
姉様が好きだったくせに私に乗り換えるし
貴方の分の地区も担当して身体はボロボロだし
杏寿郎のいなくなった世界でいい人なんて見つかるわけがないし、見つけようとも思わない
遺言は謝罪ばかりだし、愛の告白だって遺言
鰻は食いっぱぐれるし、本当に、
『色んな意味で、最低な男!』
人生で多分、1番の笑顔でそう言ったと思う
『……』
霧氷のように月の中へと消え去った唯一の肉親
煉獄のように太陽の中へと姿を消した想い人
相容れないその2人はいつでも私を見ている
『逃げ場なんてない。…………あの二人の分も私が頑張るしかない』
頬を伝って地面に落ちる水滴
『身体を大切に、なんて。
……無理に決まってる!』
早朝で道に人なんかいないのに
そう言った瞬間、どこかで笑う声がした。
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ざざここ - 泣きました...ありがとうございました (2019年8月26日 23時) (レス) id: e1527044e1 (このIDを非表示/違反報告)
小夜(プロフ) - ひえええ鬼滅学園だぁぁ!こっちでいっぱいイチャイチャして末永く幸せにしてッ‥! (2019年8月26日 16時) (レス) id: bdb178dea2 (このIDを非表示/違反報告)
omochi(プロフ) - 三日月狐さん» うわぁあ、鬼滅学園、めっちゃいいですね…!!アイディアありがとうございます!イチャイチャさせたい…! (2019年8月18日 17時) (レス) id: 483cf2a139 (このIDを非表示/違反報告)
三日月狐(プロフ) - 完結お疲れ様です!イチャイチャできなかった夢主と煉獄さんがイチャイチャするのをこの続きとして鬼滅学園を書いて欲しいです! (2019年8月18日 14時) (レス) id: 3509484858 (このIDを非表示/違反報告)
卯の花(プロフ) - めっちゃ好きです。更新応援してます! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 96075550f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:omochi | 作成日時:2019年4月27日 19時