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3話 ページ3
右肩。 右腕。お腹。順番に洗っていく。Aは二日ぶりに触れる温かいお湯に安堵の息をついた。
一週間前、Aは母親の制止の言葉を押し切って家を飛び出した。多分、自分の中での何かが限界に達したのだと思う。
家から出たとて根本的な解決にならないことは重々承知だ。むしろ現状を悪化させていると言わざるをえないだろう。そして現に、友達作りもまともにしてこなかったAが泊めてもらう家なんて当然あるはずもないのだ。
特に行くあてもなくその身を夜の街に投げ出したAは、冴えない男を誘いホテルに入ってはお金を貰うというその日暮らしの生活をしていた。
こんなのは初めてのことじゃない。しかし、私がこんなことをしている間に、他の同級生は残り少ない青春を謳歌しているだろうが。
白い湯気の中で青々と鈍く色づいている痣にAは目を細める。Aは治りかけていた薄紫の上に、また新たに赤黒い痣ができていることに気が付きため息をはいた。
髪の水気を切り、風呂の扉を開けると律儀にも新品のトレーナーが隅に畳んで置かれていた。
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作者名：か | 作成日時：2023年12月2日 0時
