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「1人でなんでもできるようにならなきゃって……おもったんだけど……。……ご飯つくるのって、とってもむずかしいね……。それに、あなたがつくってくれたものより、あんまりおいしくない……。もっといろいろ、勉強しなくちゃ」
「きっと、薄々気付いてるんじゃないかなって思うの。私が何を考えてて、何を望んでて、どうしたいのか。……何も分からないような、無知な子じゃないことなんて、私が1番よく分かっているわ。だって、ずっと一緒にいたんだもの。……そう、ずっと、一緒に」
「今までも、これからも。ずっと一緒にいるものだと思ってたの。疑ったりだってしてなかった。それなのに。……どうして、離れようとするのかしら。ずっと一緒にいるのが普通だと……。……違うわね、ずっと一緒に、いてほしいのに。……離れてなんて、欲しくないのに」
「あの子の家族なんて現れなければいい。……姿だけじゃない。名前も、声も、香りひとつだって、何も触れさせたくないの。……だって、もし現れたら、私なんてきっと……捨てられちゃうもの」
「あの日、あの子の手を引いたことを後悔した日なんてない。……けれど、強いて言うなら……自分が自分だったことに、後悔したことならあるわ。もっと普通の女の子だったら……本当に、可愛いだけの、ふわふわとした無知な天使なだけだったら。そうしたら、こんな気持ちになることだって、なかったかもしれないのに」
「いつか……ずっと、眠れないようになるかもしれない。はたまた、ずっと、ずぅっと、眠り続けるようになるかもしれない。……どうかしらね、あくまで可能性の話であって、確実に起こると決まったわけじゃないけれど。……そうなる日が来るかもしれないこと、貴方には知っておいて欲しいの」
「貴方が側にいてくれる時だけ。……なんとなく、なんとなくね。普通に、眠れたような気がしたのよ。……いい夢を、見れたような気がしたの」
「──おやすみなさい。私の……大事な、大事な……」
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作者名:望月 | 作成日時:2023年3月20日 10時