ルーツメイト 第一章 〈A〉

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「…あれでって…」

「だってさ、俺に殴りかかってきたテヒョン…君？もうテヒョン君でいいや。凄かったじゃん」

「……ゴメンね本当に」

「あ、そうじゃなくって。てゆかAが謝る事じゃないだろ」


困ったように笑うジミンの口の端には紫色の痣

…なんか私の怪我とおんなじ

お揃いの怪我って。
こんなとこまで被っちゃったよ。


「…何て言うか、こっちのテヒョンはあんな風に誰かに殴りかかったりとかしないと思うから」

「…そうなの？」

「うん。それに…」

「……それに？」

「あんな牽制みたいなことしてたら誰だって二人が付き合ってると思うって」


ははっと笑うジミン
牽制？


「テテ何か変なこと言ってたっけ？」

「え？いや、言ってないけど…」


だよねぇ
ん？じゃあ何が？


「…もしかして気付いてないの？」

「え？」

「それともあれが普通ってこと？普段からあんなんなの？」


あんなん？
よくわからなくて首を傾げる

ジミンは呆れたようにはぁ、とため息をついた


「距離感だよ。普通の友達の距離感じゃないぞ。しかも男女の」

「……」

「あんな見つめあっちゃってさ。カップルだと思うじゃん普通」


その言葉に自分達の事を思い返してみる

朝起きたらケータイで連絡取り合って
同じ授業は一緒に受けて
帰りはなんとなく一緒に帰って
そのままどっちかの家に転がり込む事もよくある

…そういえば
私大学入ってからテヒョン以外の友達とどっか行ったのって数えるほどだ


「……」

「…あ、まぁ付き合い方は人それぞれだし俺の言うことなんて適当に流してくれれば」

「…何で気づかなかったんだろ…」

「…え？」


普通に友達と遊んだり
彼氏作ったり
大学入ったときはそーゆーのに憧れてたはずなのに
できたのは会ったときお喋りするくらいの数少ない女友達。
男友達なんて高校以来出来ていない。

でも
理想とかけ離れた生活してても何にも違和感も疑問も持たなかった


「…ジミン」

「ん？」


なんだかこのままじゃダメな気がする
ふと怖くなった


「友達になって」

「…へ？」


目の前の好青年を見上げると
びっくりした顔で見つめてくる

でもその後少し考える表情をして
それから照れたように微笑んだ


「なんかもうそれに近いんじゃない？」

「え？」

「この関係って友達より特別な感じだけど」


ふふっと笑う彼のじんわりした笑顔に毒気を抜かれた私

いつの間にか強張っていた顔がほぐれて
一緒に照れてしまった。

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