ルーツメイト 第一章 〈A〉

42 ページ42

.






"Aちゃん"







はっ

「……」


むくりと起き上がると
隣ではまだテヒョンが熟睡中だった

時計は午後３時を回ったところ


「…テテー…」

「……」

スー…


……本当に寝てなかったんだな


「……」


喉かわいた…

ギシ、

すっかり力の抜けている腕からするりと抜け出し
冷蔵庫の扉を開ける

パタン
"パタン"

「……」

コポコポコポ…
"コポコポコポ…"


グラスにお茶を注いでぐいっと飲み干すと
シンクですぐにグラスを洗う


ジャー…
"ジャー…"


……なんか
前から感じてたこれって

この感じ



もしかして…






「……………ジミン？」









.









.









「っうわあっ！！！？」

「え？っきゃあああ！！！？」

ゴンッ

「いでっ…！」

ゴッ

「い"っ！？」

痛い！！


後ろから叫び声がして振り向くと
腰にタオルを巻いたジミンが上半身裸で立っていて
ついテンパってしまった私は
持っていたグラスを足に落としてしまった


「〜〜〜っ」

「ーーっ！」


声にならない声で痛みと格闘中

てゆーか
なんか前からもうめき声が聞こえるんだけど

涙目になりながらも顔を上げると
ジミンが頭を押さえて悶えてるのが見えた

パチ

涙目のジミンと目が合う

…はっ

「ちょ、とりあえず服着てっ」

「なっ…人を変態みたいにっ」

「だって…あーもー…いったぁ…」

「あー痛ぇ…」

「……」

「……」

「「……ぷっ」」


こんなとこまでシンクロしなくていいって

とか心の中でツッコミつつ
再会できた事を嬉しく思ってる自分がいる


「……えーと。いらっしゃい、かな？」

「え？」


その言葉にキッチンからすぐ見える玄関へ目を向けると
置いてある幾つかのスニーカー


「……お邪魔します」

ぺこり

そして再び目が合うと
また私たちは笑い合った









「……え、気配？」

「うん。なんかね、ここに…305号室に引っ越して来てすぐに不思議な体験するようになったの」


後ろでごそごそと着替える音を聞きながら
私の部屋には無い座椅子に座って話を続ける


「いつもってワケじゃないんだけど。たまーに凄く近くで同じ作業をしてるような気配がしてね、なんかいるのかな？って思ってたの」

「……それ、もしかしてあの心霊現象の事…？」

「"あの"？」

ギシ、

スウェット姿になったジミンがベッドに座る


「俺もたまに変な気配感じるんだよ。お風呂掃除してる時とか。考えると怖いから気のせいって思ってたんだけど」

43→←41

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す