ルーツメイト 第一章 〈A〉

41 ページ41

ひょいっ

！！

「いやいや。イヤイヤイヤ」

「アイヤイヤァー」


なに歌ってんの！

再び私を持ち上げたテヒョンは
そのまま担ぐような形でリビングに戻る

ボスンッ
「ぅぐっ」

そしてされるがままの私は
放り投げるようにベッドに降ろされた

ギシ、
…ひぇっ


「ちょ、おち、落ち着こう！」

「ぶっ、お前が落ち着け」


無理でしょ！

なんてったって今私はベッドの上でテヒョンに羽交い締めにされてる状況なワケで。
これをどう冷静に受け止めろと。


「て、テヒョン！冗談はこのくらいでっ」

「冗談じゃないって言ったら？」

「…へ！？」

「俺本気なんだけど」


なんて？

そのままカチンと固まっていると
近付いてくる顔


「…嫌なら俺、帰るけど」

「……」

「……Aは俺が帰っても良いの？」


細くなる目に
息をするのも忘れる

……そんなの


「……ほら、逃げない」

「……」

「…………Aはずるくて、おくびょう…」


言葉が途中で
ふつり、と途切れた


「……テテ？」

「……」

スー…

寝てるーーー！！
なんなのこの人！！

……あ、でも
そーいえばさっき寝てないって言ってたっけ
添い寝がどーこー言ってたな


"年頃の男女がベッドの上で…"


「……」


ま ぎ ら わ し い


自分の頬に手のひらをあてる
あっつい
恥ずかしい

過剰に反応しちゃったじゃん
テテの言い方があんなんだったから

…あれも絶対わざとなんだろうな

やられっぱなしは悔しいけど
起きてる彼に対抗してもきっとまた負けるのが目に見えてるので

仕方なく今目の前にある鼻をつまむ


「………んが」

「…ぷ」


鼻呼吸が出来なくなって口を開けた顔がなんかマヌケで面白い
ちょっとやり返した気持ちになって満足。


「……」


スー…


……私も、ちょっと寝ようかな

どちらにしろ羽交い締めにされた状態では起きるのも大変なので
ここはテヒョンに甘えて軽く二度寝する事にした。

42→←40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す