ルーツメイト 第一章 〈A〉

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はー…

「……A…」

「…ごめん、大丈夫…」


冷たい空気とテヒョンのにおい
それを胸いっぱいに吸い込んでから
ゆっくりと離れた


「…ちょっとパニクっちゃって」

「……」

「ごめんね、朝から…」

「…アイツは？」


掠れた声に顔を上げると
目が少しだけ赤い
よく見れば目の下が若干翳ってる

…もしかして、寝てないの？


「…ジミンには帰ってもらったの。あのあとも長いこと拘束されてたし、今日は朝から用事があったみたいだから」


一応それらしい事言ってみたけど。
なんか私嘘が上手くなった気がする


「…なんで連絡よこさなかったんだよ…」

「…ごめん。かなり遅くなっちゃったから」

「はぁー…」


深いため息
…やっぱり連絡するべきだった？


「俺があんな状況で寝れると思う？」

「…ごめん」

「許さん」

「えぇっ」

「罰として添い寝」

「なにそれ！」

「今日は大学休む。そんでお前の部屋で寝る」

「何を勝手に…っ」

「…朝っぱらから電話で泣き付いてきたのは誰だっけ」

…う

「……」

「はい、中入る」

「わ、ちょっと押さないでっ」

「あ、昨日のチヂミ食べてからにしよ」


…あ
私あのまま寝ちゃったからラップかけてない…


「…あれ？」


テーブルの上は綺麗に片付いている


「ん？チヂミは？」


冷蔵庫を開けてきょとんと見上げてくるテヒョン

横のシンクの中に食器もなく
見れば綺麗に洗ってあった



"チヂミは俺が食べてあげる"



…そうだ
ジミンが


「…全部食べたんだ…」

「は？」


私の呟きに
最初はぽかんとしていたテヒョンだけど

その顔が徐々に不機嫌になってくのを見て
慌てて言葉を続けた


「あ、また作ってあげるから」

「……」

「今度はクッパとかどう？」

「……」

「…テテ？」


応答なし。
食べ物の恨みってコワイ。
思わず苦笑いがこぼれる

なんとも言えない空気の中、不機嫌そうな彼の様子を窺っていると

おもむろに立ち上がったテヒョンは
何を思ったのか私をひょいと横抱きにした


「ちょっと！？」

「暴れないで。俺今チョー不機嫌だから」


そんなの見れば分かるよ！

そう心の中でツッコミつつ
神経を逆撫でしたくはなかったので
ジタバタしていた足を大人しくする


「…ふ。聞き分けいーな」

「…別に」

「Aはとことん俺に甘い」


…うるさいな


「でもそれってさ、」

ピンポーン
ギシ、

私がベッドに下ろされたのと同時に
玄関のチャイムが鳴った

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