ルーツメイト 第一章 〈A〉

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『大丈夫だよ、ここは歩く人の道だもん』



"でも…"



『ほら、こっちが近道なの』



駆け出す私
追いかけてくる男の子



"Aちゃん！！"



『え？』







キキイィィィィーーーーーーッッッ







……………………



…………



……







はっ

薄暗い部屋
目を開けてしばらくそのまま硬直する

……ゆ、め…？
あれ、でもどんな夢だっけ…

すぅ、すぅ、


「……？」


枕元で聞こえる息遣い

目を凝らすと
ジミンがベッドの端で組んだ腕に頭を預けた状態で寝息を立てているのが見えた

…あ、私あのまま寝ちゃったんだ
このままだとジミンが風邪引いちゃう


「ジミン」

ゆさゆさ

肩を軽く揺すると
もぞっと動く頭


「ねぇ、風邪引くよ。起きて」

ゆさゆさ

「…ん…大丈夫…」

「じゃないでしょ、ほら布団入っていいから」

「…んん…はれんちぃ〜…」

「……」


は、破廉恥…

でも…うん、そっか
確かに年頃の男女が同じベッドで寝るのってちょっと…あれだよね、うん

そういえば私たち初対面がベッドの中だったっけ
あの時は金切り声出して騒いでたのに
私ってば昨日の今日で危機感なさすぎ

いくらジミンが居心地いいからって…


「……でも羽毛布団１つだけなんだよな…」


あとは薄い毛布のみ
これじゃ寒いよ

…うーん…


すぅ、すぅ、
「……」


そーだ
二人で布団が被れる体勢になれば良いんだ
よいしょっ

ゴソゴソ

そのままベッドから下りて
うつ伏せているジミンの横にぺたりと座る

うん、これなら私も寝れるかな？
高校の時とか授業中はよく腕に頭乗せて寝てたし

なんか自分の部屋でこんな寝かたするなんて変な感じ

あ、電気カーペットの電源つけとこ
弱ならそんな熱くないよね


バサッ

ジミンの肩に布団を掛けて
余った端の方を自分の肩にかける


…うん、まぁまぁ、あったかい


そのままベッドの端に腕を置いて頭を乗せ
ジミンの方を向いた

すぅ、すぅ、

規則正しく聞こえてくる寝息
それに合わせて動く背中

暗がりだけど
腕の隙間からちょっとだけジミンの寝顔が見える


「…おやすみ、ジミン」


なんとも言えないあったかい気持ちになって
思わず微笑んだら

さっき消毒した口の端から
パリッと乾いた音がした

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