ルーツメイト 第一章 〈A〉

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やだ、
やだやだやだやだ！！

「……っ」

なんとか気力で男の腕を掴むけど
力が入らない

こわい

口の中に鉄の味が広がって
殴られたショックに気が動転する

抵抗しなきゃ、

「やめてっ！」

バシッ

「っ」

痛い
今度はすぐに痛みを感じた
さっき殴られた頬を平手打ちされたと分かる

やだ
誰か
テヒョン
私、

こんなのって








「…っに、やってんだ！！」




急に

身体にかかっていた重力が消え
圧迫感から解放される

「ひっ…」

バキッ

鈍い音がして目を開くと
さっきまで上に乗っていた男が吹っ飛んだところが見えた

ガシャンッ

そのままテレビ台に衝突する


「ぐっ…！」

「待てっ！」


聞き覚えのある少し高めの声
出口へ駆け出した男を追いかける背中


「…ジミ、」


その背中に向かってなんとか声を発すると
一瞬、ぴたりと動きを止めこっちを振り返った

ガチャンッ

「あっ！」


玄関の扉が閉まる音
もうさっきの男の姿は無い


「……」

「、A」


ジミンは緊張した顔で玄関と私を見比べていたけど

１つ息を吐くと
ゆっくりと私に近付いてきた


「……大丈夫…？」

「……」

「…口、切れてる…殴られたんだな」

「……」

「…もう大丈夫だから…」


さっき殴られた頬を見て顔を歪めたジミンは
目の前に来てしゃがむと
そっと私の頭を撫でた


「……っ」


こわ、かった


「…A」

「…う、」


わああああぁぁぁぁっ

震える胃の底から狂ったような声が出た
凄く怖かったのに
今凄く安心したのに
不思議とあまり涙は出ない

それよりも意味のわからない嗚咽が漏れた


「、…ひっ、」

「……」


両手で顔を覆って体を目一杯縮こめる
そうしてぎゅうっと全身に力をいれないと
恐怖でおかしくなりそうだ


「…怖かったな。大丈夫だから…」


そんな私の横でジミンは
ただ背中を擦ってくれていた

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