ルーツメイト 第一章 〈A〉

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うーん、と首を捻って暫く考える素振りを見せた後

「いない」

とキッパリ否定した。


「…そっか」

「何で？」

「んーん。こっちの話」


なんとなく予想はしていたから
さっさと話を切り上げてまた歩を進めたのに
隣が付いてくる気配はない。

振り返るとまださっきの所で立ち止まったまま
じっと私を見下ろしていた。


「…テテ？」

「…ジミンって男？」

「え？」


聞こえてきた呟きはイマイチ聞き取りづらい


「ごめん、なんて言った？」

「…だから大学生って心配なんだよな」

「は？何が」

「こっちの話」

「……」

スタスタスタ

そのまま私を抜いて先に行こうとするから


「…なんなのよもう」


私も歩くのを再開すると
テヒョンはちらりと私を振り返って歩調をゆるめ
そのまま歩幅を合わせてくれる


「…チヂミ食べたい」

「…そうですか」

「作ってよ」

「買えばいいじゃん」

「Aの作ったのが食べたいの」

「…はぁ…もーわかったよ。作ればいいんでしょ、作れば」

「ひひ。やったっ」


テテの四角い口を見て
はた、と気付く


"いっつも俺に流されてさ"


……こーゆーこと？

気付いてしまうとなんだか居たたまれなくて
このままで良いのかと自分に問いかけるも


「具はたっぷりでよろしくー」


既にるんるんなテテを見ると今さら断ることもできなくて

…結局、私はテヒョンに甘いんだ

もう自分の性だと諦めて認める事にした。









ガサガサ

スーパーの袋を漁って１つずつ冷蔵庫に詰めていく


「散らかってるけど気にしないで」

「気にしようぜ華の大学生」


む。悪かったわねっ

朝遅刻しそうになって慌てて家を出たのでカーテンとかベッドも乱雑な状態

そんな家具たちをスルーしつつ
テヒョンはシンクで蛇口を捻って手を洗った


「…なぁ、A部屋に誰か上げた？」

「え？今テテ上げてるじゃん」

「その前に」


ん？
なんか昨日こんな会話しなかったっけ？


「誰かって？」

「…いや…違うなら良いんだけど」


歯切れ悪くなったテヒョン
なんだろ？


「…トイレ貸してもらうな」

「あぁ、うん…」


そこで気付く
あ、昨日ジミンが居たんだった

振り返るともうトイレのドアは閉まっていて
少しだけほっとする

…テヒョンになんて説明すればいいか分かんないし

パタン
全て詰め終わって立ち上がりシンクを見ると
中にはお椀やマグカップなど幾つかの食器が。

げ。昨日洗い忘れてたっ
料理する前に洗っちゃわないと

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