ルーツメイト 第一章 〈A〉

3 ページ3

でもそうか

改めて自分の服装を見下ろす。
黒いロンTにストレッチ素材のジーンズ、
申し訳程度に首にかけたシルバーのアクセサリー

私はこれでも全然問題ないけど
ここはテヒョンの顔を立ててあげた方が良いのかも

一応映画付き合ってもらうんだし


「わかった、ちょっと待ってて」

「ん？」


きょと、としたテヒョンをとりあえず放置して私はクローゼットの中を漁り
一番奥の方に眠らせていたタイトスカートを引っ張り出す


「これ履こうか？前にテテ選んでくれたヤツ」

「……」


少し光沢のあるそのスカートは私も割と気に入っていて
当時、それを選んだテヒョンのセンスを認めたのを覚えている


「…テヒョン？」


んだけど。

どうしたんだろ
うんともすんとも言わない


「…それ、最後に履いたのいつ？」

「え？うーんと…」


確かこれってその当時好きな人ができて
初めてデートまでこぎつけて
何着ていけばいいかわからなくて
テヒョンに急きょ選んでもらったんじゃないっけ…


「…高３以来、かな？」

「…却下。そのまんまでいいよ」

「え？でも…」

「そんなお古みたいなの俺ヤダ」

「えぇ！？これそんな型古い！？まだ二年前のやつじゃん！」

「もーめんどくさいし。そっちの方がAらしくていんじゃね？」


自分が小言言ってきたんでしょうに。
まったくマイペースなんだからもうっ

今度は私が呆れつつ
そろそろ本当に出かけた方が良さそうだったので

ボディケア特集のページでめくる手を止め
モデルさんを凝視しているテヒョンの首根っこを掴んで引っ張りマンションを後にした。


あのSFアクションアニメシリーズの映画最新作
何気に去年から公開予定日とかチェックしてたんだよねー
昨日ちゃんと全部復習しといたし準備はバッチリ
あー楽しみ

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す