ルーツメイト 第一章 〈A〉

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『おーよかった出た』

ほっ

間延びしたテヒョンの声はいつも通りで。
……安心、する


「…テヒョン」

『寝てたの？』

「………や、さっき起きた」

『ふーん。今日授業来るよね？』

「うん……今何時？」

『８時半くらい』

「……」


驚くくらいいつも通りの朝だ


「…ねぇ、テヒョン」

『ん？』

「今日の朝、誰かに電話した？」

『今してるじゃん』

「私の前に」

『…A』

「え？」

『Aに電話した』

「…さっきも電話くれたの？」

『うん』

「そっか…」


それってあの意味わかんない白昼夢見てる時？
やっぱり夢？でも。
やけにリアルだった


「…あのさ、」

『ん？』

「…他に誰かに電話したりは…」

『……なに？何が聞きたいの』


怪訝そうな声。
だめだ、上手く説明できない


「…なん、でもない…」

『……』


でもこの口ぶりからすると他に電話かけた感じはしないし。
やっぱり夢だったのかも。

寝惚けすぎ、ヤダヤダ


「あ、そーいえば電話何だった？」


とりあえず今は何も異常ないんだから。
気にしないでおこう


『…なんだよ、全然普通じゃん』

「へ？」


耳元で低音がぼそりと聞こえる


『こっちは電話すんのもいちいち緊張してるっつーのに』

「……」

『…避けられるよりマシだけど』

「……」

『……いや。避けられた方がいいのかな、こーゆー時って』

「……」


異常はないって何だ


『……A？』


めちゃくちゃ異常ありだよ
大ありだよ


『…聞いてんの？』


さっきのですっかり頭から抜け落ちてた

そうだよ私何普通に会話してんの
昨日テヒョンに何言われたと思ってんのアホか


「…き、いてます…」

『…で。お前はそれについてどー思ってんの』

「……えっと、」

『あ。待って。やっぱり電話じゃだめ』

「えっ？」

『ちゃんと会って聞く』

「……」


そうだテヒョンってこーゆーとこあるんだった

どーでもいい話とかは適当なのに
本人が真剣な時はこっちが遠回しに回避しようとしても逃がしてくれない

よくも悪くも空気を読まない人だった


『俺今日１限から４限までフルで授業取ってるから夕方になるけど。会える？』


そんなの。
どーせ私が言い訳並べて断ったところで
うちにまで押しかけるんでしょ

伊達に長年"友達"やってたワケじゃないから分かるよ。


「…いーよ、私も４限までだから」


本当はまだ全然考えれて無いんだけど。
とにかく、このまま避けてはいられないよね

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