ルーツメイト 第一章 〈A〉

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「え、そうだっけ」

「そうだよ。いつも俺が誘うか提案してるじゃん」

「…まぁ、確かに…」


もしかしてちょっと気にしてた？


「…なんかごめん」

「別に謝られるような事じゃないし」

「うん…」


チラリとテヒョンの顔色を窺うと
目の前の具材を口にいれては咀嚼する作業を再開していて。

この様子は本当に気にしてないんだろう
それくらいは分かる

………ん？


「いやいや。誘ったことあるよ、一回だけだけど」


そうだ。忘れてたけど


「ほら、私がホソク先輩とデートすることになった時。一緒にあのスカート選んでくれたじゃん。あれ私がテテに泣きついて付き合ってもらったんだよ、覚えてる？」

ピタ

またテヒョンの動きが止まった。


「……あれはカウントしない」


いつもより低い声


「え、なんでよ」

「思い出すたび腹が立つから」

う"。
身に覚えがありすぎる…


「……確かにかなり色んなお店に連れ回しちゃったけど。そんな言い方しなくても…」


ちょびっと傷付くよAちゃん。


「ちげーよ。自分にだから」

「え？何が？」


なんて事ない話なのに
テヒョンの手は止まったまま。

お椀に入れたお豆腐にも手をつけていない。


「…テヒョン？」

「A」

「ん？」


声のトーンは

デザート食べたくない？

くらいの自然さだったから
その先の言葉の意味を理解するのに数秒かかった。


「俺お前の事好きなんだけど」


ただそのあと
煮えた豚肉を見ても
見つめているだけで手を出さないテヒョンを見て

あぁ、テヒョン緊張してる

と思った。








ーーーーーーー







ザーッ
カチャカチャ


部屋で一人、片付けをしていると
さっきのテヒョンの言葉が頭の中を駆け巡る。


「…女に見えないって言ってたクセに」


ショックだった

だって。いつから？
何がきっかけで？




"ごちそうさま。帰るわ"

"あ、うん"




あの時、咄嗟に何も浮かばず
アホみたいにぼけっとしてテヒョンを帰らせてしまった事を今更後悔する

ただ




"とりあえず今日は帰るけど。
そーゆーことだからちゃんと考えとけよ"




帰り際に放たれたあの言葉は
私を覚醒させるのには充分過ぎるものだった。

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