抱えたもの【伏見臣】 (ページ5)

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よく分からないままいづみ先輩について行くと、先ほど舞台に立っていた人達が目の前に現れた。

「ええっ、ルチアーノとランスキー！！」

「十座くんと万里くん！！！左京さんに臣くん！太一くんも～！すごい！」

私はまだ先程の舞台の世界観のままの名前を言ってしまった。李奈さんは本名を言ったみたいだけど。私は目の前にいるかっこいい人達にドキドキとしながら「こんにちは」と挨拶をした。

「あ、この2人は私の後輩とその上司さん！観に来てくれてたの」

「へぇ...ども」

「...っす」

「近くで見てもイケメーン！お疲れ様です！真島李奈っていいます！」

李奈さんは持ち前のコミュニケーション能力で、自己紹介をしていった。私は緊張を隠せず、何も発せないでいた。

「こっちが私の高校時代の後輩！手、出さないでね～」

「ええっ、AAです...先程は素敵でした」

「カントクの後輩ちゃん、可愛いっすね～！」

赤い髪をした男の子にそう言われた。きっと私より年下だと思う。可愛いなんてあんまり言われたことなくて「すみません！」と何故か謝罪をしてしまう。

「ははっ、そこは謝るとこじゃないだろ。でも、太一の言う通り、可愛いなあ」

「っ！！」

覗き込むようにして、私の前に顔を向けてきたのはデューイさんだった。いや、本当の名前は違う。ええっと...伏見...臣さんだったかな。今はそんなことじゃなくて、顔が近い。どうしよう、カッコいいけど...。

「臣くん！Aは男の人に免疫ないから、あんまり近いのダメ！」

「ん？ああ、ごめんな？」

「いっ、いえ...」

いづみ先輩の言う通り、私は男の人に免疫がない。今まで付き合ったことがない訳では無いけど、お友達の延長みたいなお付き合いしかしたことがない。

「ふん。で、監督さん。この人たちを打ち上げに連れてくるのか？」

「そうそう！来てくれたお礼がしたくてね？ダメかな？」

「大歓迎っす！可愛い女の子が増えて嬉しいっす！」

犬みたい。目の前でニコニコしている赤い髪をした男の子に、そんな印象を持った。その後の方でデューイの格好のままの伏見さんが、ニコリと笑ったのが見えた。何故か目を奪われてしまうその姿。どうしてしまったんだろう。