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今日は朝から部屋の片付けをしていた。住み始めてから1ヶ月なだけあって、あんまり散らかっていないのが救いだった。そう、今日は臣さんが家に来ているのだ。いや、正確に言ったら臣さん達なのだけど。
「ん？どうかしたか？」
「い、いえ！」
やはり目がいってしまうのは臣さん。自分の気持ちに素直にならなければ、そう思えば思うほど不安が積み重なる。もし拒否してしまったら、と考えてしまうのだった。
「あ、A。最近視線が気になるって言ってたの、大丈夫？」
「ああ、うーん、未だに変わらないですね」
いづみ先輩に言われて思い出した。最近、会社帰りに視線を感じている。極力明るいうちに帰るようにしているのだけど、残業の日の帰り道は必ずと言っていいほど視線を感じていた。ここ数日は、李奈さんに話して早めに帰してもらえるようにしているから、大丈夫なんだけど。
「ええ！Aちゃん、それってストーカー！？」
「ななな、やばいっすね」
「大丈夫なんですか！？」
団員の皆さんが心配の言葉をかけてくれる。私はそれが申し訳なくて「大丈夫です」と言って、笑って誤魔化した。正直全然大丈夫じゃない。昔のこともあるし、怖くて仕方が無い。けど、実家に帰るわけにもいかない。第一、会社に送り迎えなんて絶対に嫌だ。
「じゃあ、落ち着くまで寮に住む？」
「えっ！そんな！悪いですよ！」
「私も、Aが来てくれると嬉しいし」
いづみ先輩はニコリと笑ってそう言った。寮に住む、ということは臣さんと同じ場所で生活をするということ。そう思うと私の目線は自然と臣さんへ向いた。
「なんか、俺得だな」
そう言って爽やかに笑う臣さん。さらっとなんてことを...。私はその言葉に身体中が熱くなった。
「Aちゃん、赤いっス！！」
「えええっと、え、どうしよう」
「焦ってるAちゃんも、可愛いな」
「もう、臣さん...やめてくださいっ」
私は恥ずかしくなって俯く。臣さんって天然タラシってやつだ。完全に臣さんのペースって感じで、なんか悔しい。恋愛経験の浅い私が何をやり返せる訳でもない。いつか心の整理がついたら、この気持ちをちゃんと伝える。この日、私はそう決めた。
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作者名：かりん | 作成日時：2018年5月8日 14時
