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劇団の皆さんのお陰で、荷解きはすぐに終わった。とはいっても大きな家具をお願いして、私は小物を片付けただけだ。なんだか申し訳ないことをしたな。
「やっぱりいいね！綺麗なマンションは！」
「そうですかね？」
「うん！よし！片付いたし、カレー食べに行こ？」
やっぱりそれが目的か。カレーは楽しみだけど、この大所帯は本当に恥ずかしい。引越し屋さんもびっくりしていた。
「じゃあ、この間言ってた特集記事取ってくるので、待っててください」
「はーい」
私はこの間の雑誌を手に取り、サンドウィッチの特集記事の入った雑誌も鞄に入れる。三角さん、喜んでくれるかな。
「お待たせしました」
そう言ってリビングに戻るとそこには臣さんしか居なかった。私は慌てて「皆さんは！？」と聞く。
「先に行ったんだ。ちょっと、Aちゃんに伝えたいことあってな」
「な、何でしょう？」
やっぱりこの前のことかな。嫌な思いさせちゃったから、そのことに関してだろうか。私は色々と考えながら、臣さんの言葉を待った。
「もう、我慢出来ないから言う」
「は、はい」
「Aちゃんの事、好きなんだ」
まだカーテンのついていない窓から、太陽の光がきらりと差す。私はその眩しさと同じくらい、臣さんのことを眩しく感じた。「好きなんだ」と言ったのはどうやら嘘ではないようで、臣さんの顔は赤く染まっている。
「臣さんが、私のこと...？」
「ごめん、迷惑だと思うけど...」
「そんな！迷惑だなんて...！」
私も好きです。そんな言葉を言うのに躊躇ってしまう。臣さんに触れられても大丈夫だったけど、近距離恐怖症はまだ治らない、と思う。軽率に想いを伝えて、傷つけるのは嫌だ。そんなこと思わず、伝えてしまえばいいのに。いろんな気持ちが交差して何も言えなくなる。
「Aちゃんの気持ちは今すぐじゃなくていい」
「えっと...」
「さ、行こう」
臣さんはどこかスッキリしている様子だった。臣さんはいつから私のことを好きでいてくれたのだろう。いづみ先輩のように毎日一緒にいたわけでもなく、あれからLIMEも結局来ていなかったのに。私は頭を悩ませながら、MANKAI寮へと向かった。
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作者名：かりん | 作成日時：2018年5月8日 14時
