【短編集】あなたの一面 【狼ゲーム】

米森サトル ページ9

サトルside


高梨Aは私の初めての患者だった。
……精神科医としての。

彼女はある病気を抱え込んでいた。

思いこみ 妄想が激しい、といった症状
見えない何かと常に彼女は戦っていた。



｢今日はどうかな？｣


｢ずっと、誰か、いるの、ずっとずっと｣


｢大丈夫だよ、そこには___｣



｢あああうるさいうるさいうるさいなあ！！｣



俺のカウンセリングなんてこの子には意味を成していないようだった。

悪化していく彼女。
ストレスで気が狂いそうになる俺。
本望ではない職業。


………限界だった。



ある日を境に俺は"異常"と言われるほどの量の薬を彼女に処方した。
処方しただけじゃなくて、彼女の体に直接投与したこともあった。


｢うふ、うふふ
先生最近私とっても幸せなの｣


全てが狂い出した瞬間だった。
健やかに笑う彼女の顔を見て、
俺は罪悪感なんて微塵も感じてなかった。

__むしろ彼女を楽にさせてあげた達成感を何十倍も感じていた



｢先生、もっともっと沢山頂戴ね｣



｢あぁ、もちろん｣



それから何日かして彼女は姿を見せなくなった。
特に何も感じも思いもしなかった。
親にバレて病院でも変えられたのであろう



『……ビルの屋上から女子高生が飛び降り、
意識不明の重体です。彼女は異常な量の___』








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優惑さんリクエスト サトルさんでした！
ありがとうございます！

永井オサム※→←霜月ユキナリ

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