Chapter seventynine ページ32
「いらっしゃいませ。こちらのお席へどうぞ」
店に着いて、店員さんに案内される。
店員さんが去って、メニューを二人で覗き込む。
「ん〜、チーズハンバーグ？チーズがとろっとろで堪らないんだよね〜！んーでも…デミグラスソース付きのハンバーグも美味しそう…あ、期間限定のハンバーグもある！」
あぁ、どれにしようか迷う。
やはりここは、期間限定と行こうか。
いやでも、これはかなり高い。
じゃあ、チーズハンバーグ…
んーでもなぁ………。
「二宮っ」
「へ？何？」
「さっきからずっと呼んでるけど、全然返事してくれないんだな。」
翔さんがショックそうに僕を見つめた。
「わわっ、その、ごめんねっ？夢中になって気づかなかった…」
「…ったく、俺とハンバーグどっちの方が好きなんだよ」
「そ、そりゃ、翔さん………だけ、ど…。」
「ほら。で、決めたの？」
「んー、チーズハンバーグにしようかなぁって。」
「じゃあ俺は、デミグラスソース付きのハンバーグにしよ」
「あぁ、だめっ！翔さんずるい」
「は？何が？」
「だって、それ絶対美味しいもん。翔さんばっかり美味しいもの食べてずるい」
「いや、それだったらこれを頼めばいいじゃん」
「だって、チーズハンバーグの方が安いんだもん」
だもん、だもんって…やっぱひどいかな？
「はぁ…じゃあ、俺のハンバーグ少し分けてあげるから。その代わり、二宮のハンバーグも分けろよ」
「ほんとっ？翔さんありがとう！」
翔さんがふっと笑った。
そのかっこいい笑顔に、きゅんとした。
翔さんは店員さんに注文した。
待ってる間、暇だったから翔さんの顔を見つめていたら、なんだよって照れたように顔を背けた。
そんな翔さんに、ふふって笑った。
ハンバーグが来て、僕のテンションが上がった。
「美味しそー！いただきまーす」
一口食べると、もう口の中でとろける。
「おいし……」
もぐもぐと噛んでいると、じーっと見られた。
「…な、なに？」
「可愛いなーって思ってただけ」
…そうやってさ。
なんで恥ずかしがらずに普通にずばっと言えるわけ？
こっちはすっごい恥ずかしいのに…。
じっと翔さんを軽く睨んどいた。
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作者名：まろん | 作成日時：2018年9月3日 23時
