Chapter fiftyone ページ3
「翔さん…その英和辞典、貸して？」
「え、なんで？」
「僕英語苦手で…。せめて単語とか知ってたら便利かなぁって。」
「あー。でもバカには使い物にならないかもよ？」
「バカじゃない！！！！」
ついカァッとなって、大声で叫んでしまった。
周りの人がじろじろ見てくる。
は、恥ずかしっ…………
「ばかっ、声でけーよ」
「ううぅ……翔さんのせいだから、」
「ごめんって。可愛いからいじめたくなるの」
「もう………」
翔さんはドSすぎる。
翔さんってこんな人だったの？
「で、いい？」
「あー。いいよ。もう使わないし、あげる。」
「え？！ほんと？」
「うん。じゃあうち来る？」
「いくっ！」
翔さんは新しく買った英和辞典を購入し、本屋を出た。
ふふ、翔さんの家に行けるなんて。
ちょっと…いや、かなりドキドキが止まらないかも。
「翔さん、」
「ん？」
「…ありがとう」
上を見あげて、翔さんにお礼を言う。
「…ふふ、なに？改まって。」
「んーん。ありがとうって。」
「どういたしまして。」
翔さんの手を、ぎゅって握ってみた。
「…！二宮、」
「ふふ。」
にこって微笑んでみると。
「…可愛い」
そう言って撫でてくれた。
その笑顔は、最高に優しかった。
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作者名：まろん | 作成日時：2018年9月3日 23時
