Chapter fifty ページ2
「二宮っ、お待たせ」
しばらくして、制服に着替えた翔さんがこちらに走ってきた。
「もー…翔さん、遅いよっ」
「ごめんって。途中で友達に絡まれてさ」
「…その友達、女の子？」
「なわけないだろ笑 ふつーに男だよ」
「ふーん…」
翔さんのことは、もちろん信用したい。
だけど、浮気してないかとか、やっぱり不安で…
心のどこかで翔さんを信じていないのか、そんな自分が嫌だった。
「さ、行こ。」
不意打ちで手を繋がれる。
その慣れた手つきは、なんだか新鮮って感じじゃなくて…。
とても嬉しかったけど……なんか、とてもじゃないけどぎこちなさも何も無くて。
僕を不安にさせる一方の行動だった。
その手は、恋人繋ぎに変えられた。
なんでそんなに、慣れているの…？
「…………。」
「二宮？どうした？」
どうしてそんなに慣れてる手つきなの？
…だなんて、とても聞けないよ。
「…ううん、なんでもないよ。」
無理してそっと笑ってみた。
「そう？あ、俺本屋に寄りたいんだけどさ、二宮もどう？」
「うん、いいよ」
僕は、さっきのことは忘れようとした。
本屋につき、早速翔さんは本に目が止まる。
「見て。数学の色んな解き方のってる。」
やっぱり、そんなものを選ぶなんて頭いいって思った。
「あーでも、これは二宮の頭だったら無理かな？」
そう言って、ニヤリと笑う。
「…もう。それぐらいわかるし！」
「だってガキじゃん？」
「ガキじゃない！」
翔さんが意地悪してきて、むうって頬を膨らませる。
「何その顔は」
「睨んでるの」
「だーかーら………上目遣いで睨まれたって可愛すぎるだけなんだって。分かれよ」
少し顔を赤くして、目を逸らした。
僕のことで意識してくれるんだって自覚して、嬉しかった。
「翔さんは何か買うの？」
「んー、あれば英和辞典買いたいな。今持ってるやつもう全部わかったし」
「え？！全部？！？！」
「うん。もう少し難しく書いてるやつにしようかなーって」
やばいこの人。頭良すぎる。
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作者名：まろん | 作成日時：2018年9月3日 23時
