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「……………は…………」
「え?ニノ…?何?」
ニノが必死に何かを伝えようとしている。
ニノの口に耳を寄せるけど、まるで聞き取れない。
「…げほっ、ごほっ……」
「ニノ!大丈夫か?!」
ゆっくり体を撫でてやると、
“ あ り が と う ”
そう言っているように笑った。
その笑顔を見て、俺は涙が零れ落ちた。
こんなにも弱い体で、生きようとしている。
ニノの瞳は、強く輝いていた。
「……じゅ…………」
「…ニノっ!」
今、ニノが声を出した。
「………じゅ……。」
きっと、俺の名前を言おうとしているのだろう。
それがとてつもなく嬉しくて、堪らなかった。
「す……………………き…」
「ニノっ…」
ニノの口から、「好き」と確かに言った。
今まで言えてなかった言葉。
「あぁ、俺も好きだよ…誰よりも。愛してる……」
だから…ニノ。
また、あの時のように笑ってよ。
一緒に笑って、学校に行こうよ。
俺のわがまま、聞いてくれたっていいだろ…?
ニノの小さくて可愛らしい手をぎゅっと握ってやると、安心したように微笑んだ。
「す…き………じゅ……………。あ………り…………が、と…」
精一杯の力を振り絞って、俺に伝えてくれた。
言い終わった瞬間、ニノの意識がなくなったのは同時だった────。
・
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・
・
俺は、無我夢中にニノを呼び続けた。
もう、何も考えずに。
いや、強いて言うとしたら、助かりますようにと。
次から次へと、涙がボロボロと落ちてくる。
ニノの体には、たくさんの機械が取り付けられ、電気ショックを与えていた。
「ニノ……目を覚ませよ!!お願いだよ…」
そう呼び続けても、ニノは目を開かない。
「ニノ…頑張れ、ニノっ…!」
医者は、汗をかきながら精一杯に頑張っていた。
けれども、その努力にはまるで見ていないように…
──ピー………
・
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・
・
死を告げた音は、病室中に響き渡った。
その瞬間、俺はこれ以上にもないくらいに、泣き叫んだ…
「うわぁあぁあああっ!!!」
涙がニノの顔を濡らす。
俺は、ニノの手をぎゅっと強く握りしめた。
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にのラブ - にのの 全受けが見たいです。 よろしくお願いいたします!! (2019年3月17日 0時) (レス) id: 1acbe49b89 (このIDを非表示/違反報告)
hanadai - リクエストありがとうございました!次も楽しみにしてます! (2018年11月28日 1時) (レス) id: 9cf83b8f18 (このIDを非表示/違反報告)
まろん(プロフ) - 了解いたしました!期待にお応えできるように作ります(´∀`) (2018年11月23日 15時) (レス) id: 4629c106d3 (このIDを非表示/違反報告)
hanadai - そんな感じです!なんかじゃれる感じかな??まろんさんの小説好きなのでどんなのでも喜びます!!MNとANのリクエストにも答えてくださって嬉しかったです! (2018年11月22日 21時) (レス) id: 9cf83b8f18 (このIDを非表示/違反報告)
まろん(プロフ) - くすぐるとは、ニノちゃんにこちょこちょ攻撃をする的な感じですかね?なんか語彙力なくてすみません!そして期待に応えれずにすみません…(;´Д`) (2018年11月22日 18時) (レス) id: 4629c106d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まろん | 作成日時:2018年8月30日 22時